ぷよぷよとわたし

@kirikirikirin

第1話

 我が家にスーファミがやってきたのは21世紀になってからでした。

 家族が知人のお古をもらったんですね。


 それまでビデオゲームはうちにはありませんでした。別に欲しいとも思いませんでした。女きょうだいしかいなかったのでお人形遊びとかしてたんですね。しかし、艦隊ならぬ中古ソフトを従えて、黒船来航とばかりにある日突然そやつは一家の団らんスペースに鎮座しておりました。


 妹はガチハマりしましたね。ドラクエとか狂ったようにプレイしてた。自分はハマれんかった。ゲーム独特のお約束になじめなかった。「あなたの髪はなぜ緑色なんですか」という質問が選択肢の中になかったのがつらかった。スーファミを始めるには年を取り過ぎていたのかもしれません。しかしですよ、ファミコンはなんの略かご存じですよね、“ファミリー”コンピューターです。ともにコンソールを囲んで親睦を深めようではないか、と妹が提案してくるわけです。ならば、とこちらもこたえます。以前友人宅で遊んだぷよぷよは心躍るゲームであった、と。

 その友達は一人っ子の女の子でしたがスーファミを持ってたんです。ゲーム=男子という等式を信じていた自分にはカルチャーショックでした。で、その子の家で何度かやらせてもらったのがぷよぷよだったんです。


 したらばクリスマスの朝、枕元にぷよぷよのソフトが置かれておったのです。別にもうサンタさんありがとうとか、そんな歳じゃなかったんですけどね。普通に親にお礼いいました。


 そこからわたしとぷよぷよの生活が始まりました。

 専らプレイするのはとことんぷよぷよ〈とこぷよ〉でしたね。勝敗のたびに寸劇でプレイが寸断されるのがいやだったんです。キャラはスケルトンTを愛用していました。連鎖するとお茶の名前を連呼するんですが、それが他のキャラの連鎖の技名より多かったんです。キャラそのものにはそこまで思い入れなかったですね。

 あるとき、偶然にとんでもなく長い連鎖が決まって、それまで聞いたことのない単語が叫ばれたことがありまして。ひとつひとつは覚えていないのですが、最後の「玉露〜!!!」という絶叫だけは今も覚えていますね。


 プレイスタイルは基本、右の壁沿いに縦にぷよを積んでいく型です。大体2列ぐらいを速攻で積んで、三列目で連鎖を仕掛けるタイプです。で、延々30分とか1時間とかワンゲームで費やしてました。連鎖のテクニックを極めようとか、誰かとぷよぷよ談義をしたいとかいった欲求もありませんでした。ただひたすら無。目の前にあるぷよを消して心を無にする、それだけでした。


 しばらくして、わたしはぷよぷよから離れていきました。別のゲームに移行したわけではなくて、単にゲームをしなくなったんです。妹はゲームボーイに鞍替えしてました。我が家のスーファミはいつか廃棄されていました。


 数年前、偶然にスーファミでぷよぷよをプレイする機会にめぐまれました。10年越しのぷよぷよは、記憶にあるよりもずっと画面が荒かったですね。腕もすっかり鈍っていて、コントローラーの違いを言い訳にしながら何度もコンティニューしました。


 ・・・・・・ここまで書いて思ったんですが、全然楽しそうじゃありませんね。文が盛り上がってない。企画の趣旨から外れてたらすみません。

 まとめますと、自分にとってスーファミ(というかぷよぷよ)は、「あんまり接点がないのに一時期すごく仲のよかった友人」みたいな存在です。

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