恋愛の歌

 少し前なんだけど、「白石町三十一文字コンテスト」に投稿した短歌が「秀作」に選ばれた。テーマは「愛」。実は恋愛はワタクシ短歌においては苦手としているジャンル。理由は単純。


短歌を始めて以来、恋をしていない!!

 

 ということ。うーん、才能ある人なら恋愛してなくても恋の歌いっぱい詠めちゃうんだろうな。でもワタクシには難しい。地方で開催されている短歌コンテストって、恋愛をテーマにしたものがすごく多く、目についたものは積極的にチャレンジしてるんだけど、正直なとこ恋歌ストックが少なくて毎度頭を悩ませている。

 ワタクシ、短歌を始めてつくづく思うのは、「歌を詠むのは感情のライブ感が大事」だということ。つまり、ニュースを見たり、会社で理不尽な目にあったりした時の憤りとか、勤務先の施設での入居者さんとの関わりでめっちゃおかしかった時とか、悲しい目にあった時とか、新聞に投稿歌載ってた! 嬉しい! でも次に載るかどうか不安……とか、心の揺れが歌を詠む原動力になってるってこと。だから、心が平たんだと、つまり実際に恋をしているドキドキ感が無いと、なかなか恋愛の歌を詠むのは難しいって思う。

 歌の内容が真実である必要は無いと思う。けれども、感情の部分に偽りがあったり作り物だったりすると、ダメとは言わないけど、やっぱりパンチの欠けた作品にしか作れない。少なくともワタクシの場合は。


 では、「白石町三十一文字コンテスト」に送った作品は恋愛から遠ざかっているワタクシの偽りの感情から生まれたものなのかというと……。

 実はこれ、勤務先の老人ホームにいらっしゃった超絶かわいい九十代のおばあちゃんを見て詠んだ短歌なんですね。「おばあちゃんを見て愛しく思った」その感情そのものは真実なのであります。この感情まで「恋愛」に含めるなら、このワタクシも恋愛まっさかりですね! まあ、「愛」の形も多様性の時代だし、これもアリなんじゃないかと。そしてその多様性の先端の尖った部分にあるものが短歌だったり小説だったりではないかと、そういう風に思うんだなあ。

 

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