第4話初めての依頼
「おはようございます。ジン様」
当然のように朝食を用意してくれているメイドのメリアさん。
「毎朝ありがとう、食べ終わったら今日もダンジョンを探索しに行こうか」
「そうですね。…ジン様の防具ずいぶんとダメージがありますね」
「うん…武器屋の親方から譲ってもらったお古だからね。お金がたまったら買いたいところなんだけどね」
「それなら、今回はギルド騎士団が集会所に出している依頼をこなしてみるのはいかがでしょうか?」
「そういえば、集会所のボードにいくつも貼ってあったね。あれって誰でも受けれるの?」
「初めてダンジョンに入る時に受付でもらった登録カードには、ダンジョンでの功績がポイントとして記録されているんです。そのポイントに応じてランクが上がっていきます。」
「たしかもらった時はEって書いたあった気がするけど、Dになってる!」
「ランクはEから始まってAまで上がっていきます。その後、ギルド騎士団に入団するとSに上がり、リーダークラスになるとSSランクを授けられるようです」
「なるほど、功績が記録されていって、ポイントがたまるとランクがあがるってわけか!」
「依頼を受けれるのは初ダンジョン入り以降になりますので、私たちは受注できるはずです。」
「なるほど、さっそく行ってみよう!」
こうして集会所のボードの前で依頼書を見てみることにした。
「う~ん…どれがいいんだろうなぁ」
「こちらはいかがでしょうか?」
彼女が選んだのは【テオクリスタル】の回収という依頼だった。
【テオクリスタル】は主に武器の加工に使用される。【テオトリス】という鳥類のモンスターが巣で卵と一緒に産み出すという変わったクリスタルだ。
「報酬もなかなか良いな。よし!それにしよう!」
「承知しました。では受注手続きを行いましょう。」
こうして僕らは初めての依頼を受けることになった。
—ダンジョンにて。
「そろそろ【テオトリス】の生息エリアです。」
「確か頭に赤いトサカがある鳥だったよね?」
「そうです。大きさは2m近くあるというので、警戒していきましょう。」
「結構大きいんだね…気を付けよう」
…しばらく歩くとテオトリスの巣らしきものがあった。
「あれかな?」
「おそらくそうです」
「今はテオトリスはいないみたいだね」
「おそらく、テオトリスは産卵前にエサを確保する習性があるので、エサを探しに行ってるのかもしれませんね」
「じゃあ、今がチャンスってわけだ」
「近寄ってみましょう」
―テオトリスの巣に近寄ってみた。確かに赤く煌めく【テオクリスタル】がある
「よし、回収していこう!」
「はい」
「…!?」
回収が完了したその時だった。メリアさんの背後に大きな影が…
…なんとテオトリスが戻ってきたのだった!
「メリアさん!危ない!」
その瞬間、メリアさんはテオトリスのくちばしにくわえられている。メイド服のスカートの裾をつままれ、逆さまになっている。
「…すみません!油断しました!」
「今助けるよ!」
「私も抵抗してみます!」
そう言うと彼女はスカートを押えていた手を離すと体を回転させてテオトリスと蹴り飛ばした。テオトリスがひるんだ隙に僕は一撃くらわせた。
「すごい蹴りだったね」
「…はしたない姿をお見せしてしまいました。」
彼女は少し恥ずかしそうにそう言った。
「コ…コケェ…」
さっきの一撃で気絶しているようだ。目的は【テオトリス】ではなく【テオクリスタル】なので、さっさと退散するとしよう。
「…すみません。足を引っ張ってしまいました」
「そんなことないさ!それよりメイド服、破れちゃったね。」
「いえ、お気になさらず」
「今回の報酬でさ、メイド服も新しいの買おうよ!」
「…そんな、私は今回、お役に立てませんでしたので。それにメイド服にはストックがありますので御心配には及びません」
「気にしなくていいのに」
「次はもっとお役に立てるように頑張ります。」
「お互い力を合わせて頑張ろう!」
(…あの蹴りの感じだと相当の戦闘能力な気がするんだけどなぁ)
―こうして依頼を達成した僕らは報酬を貰った。次は防具を新調するとしよう。
ダンジョン攻略のメイドさん レヴィ @revy1212
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ダンジョン攻略のメイドさんの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。