第2話 マエロル
「なんだろこいつ」「エルフ”森の住人”でもシルフ”風の子”でもない」
「ルーチェにそっくりだ」「そうかな?」
「色違いだけど翼もそっくりだ」
言われてみれば確かにそうだ。同じ鷹のような翼に顔立ちが湖に写った私の顔に似ていた。
「どこの誰にしろほっとくわけには行かないよね」
「私の家に連れて行こうよ。怪我しているみたいだし」
「じゃあ包帯持ってくる。先行っててくれ」「分かった」
私の家(山の頂上に生えているアイク”樫”)まで飛ぶと、
家の前にピクシー”悪戯っ子”が3人家に石を投げていた。
「おい鳥女、さっさと出てこい」 「昨日のツケ払いやがれ」
「おいビビってんのか」 「何してんの?」
声かけると3人とも振り返る、と同時に着地する。
もの凄い風圧にピクシー3人はいとも容易く森の方に飛ばされた。
服が木に引っかかって困っている声がする。これでしばらくはここに来れないだろう。
私の寝床(木の窪みに布2枚と枕を置いたもの)に男の子を寝かせると木に被害がないか確認することにした。案の定、枝が一本石に当たって折れていた。両手を添えると木は徐々に戻って生き、また元のまっすぐな枝になった。
自分の仕事に満足していると、「おーい。」ブフェーラが包帯と傷薬いっぱいのカゴを持って来た。薬を塗って包帯を巻くと若干タリーコス(ミイラ)っぽくなった。「タリーコスいっちょ上がり」「あはははは」
「にしてもコイツ何なんだろ」「ディアブロ(悪魔)だったりして」
「それは困る」「確かに」
その後、ブフェーラの家にお邪魔してご飯を食べた後家に帰った。
すると、男の子はすでに起きていた。「…誰がディアブロだ」
「お、起きててんだ」 「僕はそれほどのシャークア(バカ)じゃない」
「さようで」 「…お前、名前は?」 「ルーチェ」
「マエロル”嘆き”だ」 「やっぱりディ」 「ふざけんなよ」 「…」
「…親はいるのか」 「ううん。森の広場に置き去りにされていた。」
「そうか…僕のは『ヴァストーク・レスに言ったらいい事がある』って言って2週間前に死んだ。」 「そっか」 「…」
マエロル?は沈黙に耐えられなかったのかコリェ・デ・ジャッド(翡翠のネックレス)をいじり始めた。
「‼︎ねえ、それ見せて」 「?何で?」 「いいから」 「お、おい」
やっぱり。コリェには鷹の紋章が彫ってある。私のホフトイを見せる。
「なっ」裏側に鷹の紋章が彫ってある。同じ紋章だ。マエロルを見た。
見開かれた目は私と同じキュアノス(青色)だった。
「君は一体」 「何者なの?」
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