あまりガチャ運がいいと、それはそれで不安になる
「んなっ……!」
「ええっ!?」
まさかの星3が2つ。しかも片方はユニット。
その事実に全員が目を見開く。
まさか、まさか。今までロクに星3を出さなかったガチャが、まさかの星3を同時に2つ排出。
「まさか……この後に何かあるとでもいうのか……!?」
「セイル様、ガチャは宣託じゃありません!」
アミルのツッコミにセイルはハッとする。
そうだ、ガチャ運があまり良すぎると逆に不安になってしまうが、これはそういうものじゃない。
安心する為に、流れるような動きで10連ガチャをもう1度タップする。
ガチャ結果:
鉄の斧(☆★★★★★★)
鉄の大剣(☆★★★★★★)
鉄の刀(☆★★★★★★)
鉄の鎧(☆★★★★★★)
鉄の槍(☆★★★★★★)
木の杖(☆★★★★★★)
布のローブ(☆★★★★★★)
錆びた剣(☆★★★★★★)
鉄の短剣(☆★★★★★★)
トランプ(☆★★★★★★)
「……よかった。やはり今日のガチャ運は尽きている」
「ならなんで引いたんですか……?」
「不安でな」
アミルの責めるような目をスルーしつつ、セイルは先程のガチャ結果を思い出す。
「しかし、ここにきて戦力不足を解決するような人材が来たな」
「召喚士クロス、でしたっけ?」
「ああ」
召喚士クロス。
セイルが最初の10連ガチャの時に来るといいなと考えていた3人のうちの1人だ。
「リオネル魔法学園」の問題児であり「面白そう」という理由でセイル達についてくる不思議系少女。
中々レアな「召喚士」クラスであり「ソルジャーアーマー」を味方として召喚する能力を持っている。
更にはアビリティとして自分の物理防御力、魔法防御力を上げる「白の護法陣」のアビリティも持っているのだ。
まあ、それ故に他の問題もあるのだが……。
「私は王族の鎧が気になるです」
「これか」
セイルはイリーナに頷くと、カオスゲートから王族の鎧を取り出す。
宿の床に出現した鎧はセイルの普段着ている初期鎧と似てはいるが、もう少しデザインが派手になっている。
「これって……」
「見ての通り、王族の鎧だ。俺達の城に残されていたはずの、継承者の鎧だ」
そう、ストーリーではセイル達が王城を取り返した時にセイルが着替える鎧だ。
例によって「実際の鎧はガチャで引いてね!」だったりするのだが……セイル専用なだけあって、その能力は星3とは思えないものがある。
具体的には、こうだ。
王族の鎧(☆☆☆★★★★)
物理防御力+100
魔法防御力+50
セイルの見た目変化。アビリティ「協力攻撃」追加。
そう、なんとアビリティまで変化する。
見た目というのはセイルのゲームグラフィックの事だが……この世界ではどうなっているやら。
セイルが王族の鎧を纏うと、その着付けを手伝っていたアミルが……いや、アミルだけではない。
全員が「うっ」と一歩引いたようになる。
「こ、これは……」
「セイル様……」
「凄いわね、なんか鎧を纏ったら男前度が増したっていうか……顔は変わってないはずなのに、何故かしら」
「いやー、確かに。アレじゃないですか? 前より前髪がウザくなくなったっていうか」
そう、確かにセイルは前髪が長い系のキャラだが、グラフィックが変化すると隠されていた顔がしっかりと見えるようになったりする。
まあ、その辺りは賛否両論だったのだが……それはさておき。
これによってセイルは更に強くなった。
セイル
レベル15/99
物理攻撃:900(+1400)
物理防御:700(+100)
魔法防御:700(+50)
【装備】
・ヴァルブレイド(☆☆☆☆☆★★)(レベル19/70)
・王族の鎧(☆☆☆★★★★)
【アビリティ】
・王族のカリスマ
・ヴァルスラッシュ
・協力攻撃
この追加された協力攻撃だが、「隣接するユニットのうち、好感度の高いユニットと職業に合わせた合体攻撃が一定確率で発動する」というものだったように覚えている。
まあ、そうは言ってもセイルの攻撃力に依存する部分があったので本当にお遊び要素だったのだが……意外にこれが好評で「何故ガチャ産の能力にした」と大不評のブーイングを受けて怒涛の最低評価の嵐と抗議を受けた運営が渋々とアップデートとして「王城奪還」クリア後のデフォルト追加を「予告」していたものでもある。
「……さて、あとはクロスだな」
正直に言って、クロスが現実化した時に手に負えるかどうかはセイルには分からない。
不思議系少女のクロスだが「面白そう」を何より優先する。
忠誠心とか、そいういうのとは一番無縁なキャラだが……今の状況をどう判断するか。
なんだかんだで真面目な部分のあるウルザやエイスとは真逆で、心の底から不真面目なのだ。
イベントシナリオでも、度々その性格から問題を起こしていたキャラでもある。
だが、星3だ。しかも待望の召喚士。
諸々の問題を解決する為にも、呼ばない選択肢はない。
「呼ぶぞ。準備はいいか?」
セイルがそう聞けば、全員が頷く。
召喚士クロスを召喚しますか?
そう浮かぶメッセージから「はい」を選択すると、金属板が光り……セイルの前に、一人の少女の姿が構築されていく。
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