王都ハーシェル
ヘクス王国の王都ハーシェル。
基本的に王都というものは文化の中心地であるが、それはハーシェルでも変わらない。
どの建物もアーバルと比べると立派であり、白く磨かれた石で作られた建物はどれも美しい。
町中も人が多く、この光景と比べてしまうとアーバルが田舎町であったということが嫌でも理解できてくる。
「……とにかく、到着だな」
慣れない護衛の仕事を終えたセイル達は、商人のデオル達と別れ町中を歩いていた。
結局仕事が終わるまでにはそれなりの信頼関係を築けてはいたが、思い返せば実に肩の凝る四日間だった。
可能な限りこういう仕事は受けたくはないな……というのがセイルの感想ではあったが、とにかくそれなりに稼げはしたのであまり文句を言うものでもない。
「それで、これからどうしますかセイル様?」
まだまだ元気なアミルに、セイルは考え込むように立ち止まる。
呼ばれているのだから王城に行くのが当然なのかもしれないが、いきなり「姫に呼ばれたセイルだ」と言った所で不審者扱いされて終わりだろう。
そもそも、招待状を受け取ったわけでもない。
……となるとアーバルの冒険者ギルドに通信を送ってきた、このハーシェルの冒険者ギルドに行くのが正しい手順と言えるだろう。
「まずは冒険者ギルドに行くぞ。話はそれからだ」
頷く仲間達を連れて、セイルは冒険者ギルドへと向かう。
アーバルからハーシェルまでの道程で何度かゴブリン達と戦う機会があったが、全員のステータスにも多少の変化が生じている。
具体的にはこのような感じだ。
セイル
レベル15/99
物理攻撃:900(+1400)
物理防御:700
魔法防御:700
【装備】
・ヴァルブレイド(☆☆☆☆☆★★)(レベル19/70)
・鎧
【アビリティ】
・王族のカリスマ
・ヴァルスラッシュ
王国剣兵アミル ☆☆☆★★★★
レベル12/50
物理攻撃:650(+460)
物理防御:400(+80)
魔法防御:110
【装備】
・聖剣ホーリーベル(☆☆☆★★★★)(レベル8/50)
・鋼の盾(☆☆★★★★★)
・鋼の鎧(☆☆★★★★★)
王国魔法兵イリーナ ☆☆★★★★★
レベル12/30
魔法攻撃:550(+35)
物理攻撃:0(+5)
物理防御:60(+4)
魔法防御:350(+10)
・ミスリルの杖(☆☆★★★★★)
・布のローブ(☆★★★★★★)
【魔力属性】
・闇
暗殺者ウルザ ☆☆☆★★★★
レベル10/50
物理攻撃:600(+10)
物理防御:210
魔法防御:210
【装備】
・鋼の短剣(☆☆★★★★★)
・服
【アビリティ】
・暗殺者
・闇纏い
狩人エイス ☆☆★★★★★
レベル8/30
物理攻撃:500(+80)
物理防御:100(+1)
魔法防御:10
【装備】
・鋼の弓(☆☆★★★★★)
・布の服(☆★★★★★★)
アミルの攻撃力が聖剣ホーリーベルの入手と強化により急上昇したおかげで、殲滅力は格段に上昇した。
セイル自身もヴァルブレイドの強化によりゴブリン程度であれば、もはや敵ではない。
分かってはいた事だが、やはり星3武具入手はこれから最重要の課題となっていくはずだ。
そして恐らくだが、それはガチャ以外では不可能だろうとも考えている。
アーバルの武器屋がダメな武器しか知らない世間知らずというのでなければ、ガチャ産の星1の武器でもこの世界では相当な名剣扱いのはずだからだ。
「ん、此処だな」
冒険者ギルドの看板を見つけ、セイルは立ち止まる。
アーバルのものと比べると、やはり冒険者ギルドもずっと大きく立派だ。
三階建の大きな建物に入ると、中に居た何人かの視線がセイル達へと突き刺さる。
「……アーバルよりはずっとマシね」
そんな風にウルザがセイルに小さく囁くが、セイルもほぼ同じ感想だった。
アーバルの冒険者ギルドは如何にも駄目そうな連中ばかりであったが、この冒険者ギルドに集まっている冒険者達は使い込まれた装備を纏い、それなりの雰囲気のある者達だった。
そしてどうやら駄弁っているというわけでもないらしく、すぐにセイル達から興味を無くしてそれぞれの話し合いに戻り始める。
……が、何人かの視線はセイル達に突き刺さったままだ。
特にセイルに向けられている気がするのだが、敵意の籠ったものではない。
故に無視しながらセイルはカウンターまで歩き、愛想良く笑う職員へと話しかける。
「アーバルの町の冒険者ギルドで連絡を貰って来たセイルだ。取次ぎを頼む」
「はい、セイル様ですね。身分確認の為カードをご提示願えますか?」
「ああ」
セイルが冒険者カードを渡すと職員はそれを水晶にかざし、頷く。
「確かに確認できました。通信担当の者に確認いたしますので少々お待ちください」
そう告げると職員は別の職員に囁き、その職員は頷きながら奥へと走っていく。
「それと、セイル様。よろしければお仲間の方のカードも確認させて頂きたいのですが」
「ああ」
セイルが促すと全員がその場にカードを出し、職員は次々とそれを水晶にかざしていく。
やがて職員は書類を捲って何度か頷くと、顔をあげる。
「セイル様、カードが昇格の条件を満たしております。ランク2のカードを発行させて頂きます」
言いながら職員が取り出したのは……ランク2を示す、赤いカードだった。
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