第14話
時は未明、白み始める空に今日も
淡黄四環、二十六日目の朝は寒い。
カディンは寒気をこらえて気を引き締めると、シーザーを連れて山道を下る。山腹に広がる手頃な野原に目星をつけると、シーザーに地面を掘り返しておくよう頼み、その間に遺体を移動させるため、ひとり洞へと戻った。
洞を覗くとまだ眠っているポートとチトセの姿が見えた。二人とも外套にくるまって、心なしか寒そうに見える。
カディンは見張りに立っているクラヴィウスに目配せをすると、彼女はそれに応えるように赤竹造りの水筒を右手でちらつかせた。
「それにしても、あんたも酔狂なものね。
クラヴィウスはカディンに水筒を放った。
「良いんだよ。俺は俺のやり方で」
カディンはクラヴィウスが投げて寄越した水筒を受け取る。
「ガキの頃から続けてんだからさ」
カディンは手荷物に水筒を放ると、槍を片手に持ち、遺体を担ぎ上げて一人ずつ運び出していく。
ディストリア大陸には
その様子をしばらく眺めていたカディンは、シーザーが掘った地面の傍に横たわらせた遺体へ視線を移し、おもむろに腕を組んだ。
「お前ら、よくもやらかしてくれたな。だがな、葬送はまじめにやってやる」
カディンは口角をめいいっぱい吊り上げて笑ってみせる。
「お前らのことは、俺が全部覚えててやるよ」
カディンは雑記帳を入れた左脚の雑具鞄を二度、景気良くはたいてみせた。
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