第2話
彼に抱えられて、恥ずかしさの余り顔を彼の服で隠してしまった……
(それの方がよっぽど恥ずかしい……)そう思った。
「はい、俺ん家着いたよ」
不意に耳元で彼の声と息がかかり、俺は体をびく突かせる。
「んぁっ……」
バッ!!!💧
(!???)
俺は素早く手で口を塞ぐ。それを見ていた彼は俺が変な声を出した事には気づいていなかった。
(危ない……また変な声が出てしまった…)
その瞬間、下がやけに熱いことに気づいた。恐る恐る見てみると……やっぱり勃っていた……
(どうしよう……収まんない…絶対引かれる……!)
彼の家に入って、ソファに座らしてくれた。でもズボンがアソコに擦れて気持ちいいし感じてしまう。
(こんな自分がとてつもなく……嫌だ…)
「じゃあ、何か飲み物持ってくるよ。何がいい?」
不意にそう聞かれ慌ててしまった。
「おっ……お茶……」
顔を隠す様に下を向いたままお茶と言った。
「分かった。ちょっと待っててくれる?」
コクリと頷き彼は冷蔵庫を開けた。俺はまだ収まらないモノを隠すためにクッションを膝の上に急いで置いた。
その丁度に彼は二人分のお茶を入れてこっちに戻って来た。そして、俺の事を心配して「体の調子はどう?良くなった?」と聞いてきた。
まだ収まりきっていない事は言わないでおこうと思い、顔を赤くしたまま頷いた。
「そっかぁ……良かった。嫌な思いしたね…」
彼はそう言って、俺の頭をポンポンと彼の大きな手で撫でてくれた。
その彼の優しさがさっきまでは平気だったのに不安や恐怖が溢れ出てきた。
「フッ……ヒック……ぐすっ…」
俺が泣いた瞬間彼は少し戸惑いながらも、優しく抱き締めてまた優しく頭を撫でてくれた。
(…………心が安心する…不思議に落ち着ける。まだ…まだこのままでいて欲しい……)
そんな思いが頭の中で沢山……沢山よぎってきた…。でも……そんな事思ってたら……また見捨てられる…。そんな事を思い出して、抱き締めてくれていた彼の体を押しのけた。
俺が彼を押しのけた事に彼は少し驚いていた。
俺はその事に気付いていながらも……俺は気付いていないふりをして
「………ごめんなさい…それと……ありがとう…ございます。」
そう言うと彼は、少し黙って……彼は顔を俺の方に向けて笑顔で
「大丈夫だよ」と言ってくれた。
俺は少しホッとしていた所彼は俺の方をじっと見つめていた。
「…………あの…何か……?」
「いや、君の名前確か聞いていなかったなーって」
え……?俺の名前なんか知った所どうなるんだろうって思ってしまった。
でも、俺は少し間を開けて彼の顔を見て
「きっ……きさらぎ……如月悠……」
「悠君か……いい名前だね!」
そんな事言われたのは初めてだった。自分の名前がいい名前なんて思ったこと無かった。だからだろうか…凄く嬉しかった。
その時、俺が彼の事をじっと見ていたのに気づいたのか「あっ!」と言って
「俺も言わなきゃだね…💦俺は近藤奏多って言うんだ!」
奏多はニッコリと笑顔で名前を言ってくれた。
「……かな…た……?」
そうそうと奏多は頭をコクコクと上下に頷いた。
「………………」
(なんだか…子犬……?みたい……)
「……? どうしたの?」
「………………おすわり……」
と、ボソッと言ったつもりが聞こえたらしく「犬じゃないからね……?」
少し怒こり気味だったので、俺は必死に「すっ…………すみません…💦すみません…💦」と謝り続けた。
「ねー、悠君!」
急に名前で呼ばれたのでビックリして、猫のみたいにに耳を伏せて警戒してる様に奏多を見る。
「あー……💧驚かしてごめん、ごめん。えっと…また今日みたいに嫌な目に合うかもしれないから……一緒に暮らさない?」
と言われた。俺は一瞬何を言われたのか理解が出来ず、頭を抱えていた所奏多がこっちに来た。
「……ダメかな…?」
と子犬の様に言われたので、断りにくくなった俺は
「…………分かりました…。」
これからどうなるんだろう……💧ちょっと不安……
春色の景色 黒猫 @tamu8602
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。春色の景色の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます