第96話 望んだ日常

「…と、この事業を桜雪くんに任せたいんだ」


 大きな体育館、誰も居ない体育館の真ん中に私は1人立っていた。

 誰に仕事を任されたのだろう?


 私の手元には1枚のA4の紙が握られていた。

 冷凍食品のリストだった。


 コレの仕入れからルートを見直して、販売先を拡張すればいいのだと悟った。


 もともと、こういう仕事をやっていたのだ、それなりの実績も持っている、簡単なことだ、私には自信があった。

 それまでやっていた仕事は…本来の私の資質を活かしていない。

 実績を認めてもらえたのだ。


 だけど…この体育館の何処に冷凍食品があるのだ?

 そもそも誰に任されたんだ?


 ココは何処なんだ?


 これは願望…転職の際に描いていた願望…。


 私は夢の中で、これは夢だと気付いていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る