第78話 雨の窓

 窓の外には同級生が数人走っていた。

 制服姿。

 何を急いでいるんだろう。

 学校?遅刻しそうなのかな?


 私は部屋から見ているだけ。


 私も行かなくては行けないのかな?

 どこへいくんだろう…。

 学校?


 皆、走って行く、自転車で急ぐサラリーマンもいる。

 皆、どこかへ向かっていく。

 私は…どこにも行くところが無い。


 寒々しい部屋の窓から外を眺めるだけ…。

 それは、とても不安な朝だった。


 何処に行けばいいのだろう?

 急いで行く場所すらない朝。


 すべての人に取り残されていく不安だけが、この部屋に積もるようで。



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