第71話 当主

 親戚の集まりがあった。

 全員、正装してとても広い広間に集まっている。

 私の従弟が『当主』になったらしい。

 彼は紋付き袴を着て、私より上座に近い場所に座っている。

 家には序列があり、『当主』と呼ばれている者は8人ほどいた。

 上座には白髪の老人が座っている。

 老人の右側には私の父が座る。

 従弟は左の隅に座った。

 私の父が死ねば、私が父の場に座ることになるわけだが、存命かつ退く気は無いらしい。


 私は、苛立っており、その場にいることに耐えられなくなった。

 逃げる様にトイレに行くと、大きな便器に、こびり付く山盛りの大便、悪臭が酷い和式のトイレ。


 どこもかしこも居心地が悪い。

 私は車で本屋へ向かった。

 本屋には乱雑に新刊が並び、皆、一様に緑色の表紙の雑誌を買っていた。

 私も、その雑誌を手に取って、レジに並ぼうとするのだが、そのレジが見当たらない。

 欲しいモノすら買えないのかと、雑誌を戻し私は本屋を後にした。

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