第46話 スイマー
泳いでいた。
海?湖?河?淡水なのか、海水なのか解らない…。
泳ぐことは、得意ではないはずの私が魚のようにスイスイと泳いでいる。
息継ぎの必要もなく、水中を自由に動き回れる。
重力も、抵抗も無く、水の中を動き回れる。
深く潜っても苦しくもない、どこまでも青い世界は美しく遺跡のような朽ちた建造物が水の底に見えた。
神秘的な光景、少しだけ畏れも感じるような水の底。
少し怖くなって私は水面へ向かう。
上を見上げると、水面に光がキラキラと反射している明るい場所へ…。
急に水が重くまとわりついてくる。
さっきまで驚くくらいの速度で泳げていたのに、急に水がコールタールのように重く身体が動かせなくなる。
足元の遺跡が近づいてくるような気がした。
私の身体は今、沈んでいるのだろうか?
すぐ目の前に水面があるようで…届かない。
すぐ足元に朽ちた遺跡があるようで遠い。
いつか呼吸ができなくなるのだろう…今は苦しくは無いけれど…いつか…。
結局、私は水面にも上がれず、沈むことすら許されない、もがくだけなんだ。
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