第20夜 同級会

 旅館の外で同級生を迎えていた。

 駐車場から部屋へ案内して、また外へ戻る。

 部屋へ行く度に人は増え、賑やかになっていく…。

 私は駐車場で、誰なのか解らない人達に話しかけ、にこやかに笑いながら部屋へ案内する。

 ポツリポツリとやってくる見覚えがあるような…ないような人達、彼らは私の同級生らしい。

 もう誰も来ないからと私も部屋へ行こうとするのだが、その部屋へ辿り着かない。

 長く続く廊下…終わらない階段…幾度も曲がる角…笑い声が聴こえる。

 談笑しているような感じだ。

 私も同級生達と話したいことが沢山ある…のか…な…。

 ふと足が止まる。

 和式の旅館、何回かも解らないフロアの横に置かれた自動販売機の前に座り込む。

 今さら、あの輪に入れるのだろうか?

 遠くから談笑が聴こえる。

 べつに私がいなくても…いやむしろいない方が…私は駐車場へ戻ることにした。

 あれほど長く彷徨っていた旅館の中、駐車場へはすぐに行ける。

 もう誰も来ないであろう駐車場の隅で私は夕刻の空を眺めて談笑を聴いていた。

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