第21夜 逃亡者

誰かと逃げていた。

彼は私より身体能力に優れているようで、およそ飛び越えられると思えないほどの幅の崖を飛び越えて、金網のフェンスに飛びつく、

「さぁ」

と向こう側で手を差し伸べる男。

私も飛び越えようとしたが、私がなんとかしがみついた金網のフェンスは倒れてしまった。

私は、そのまま元いた場所へ戻され、追手と鉢合わせてしまう。

オフロードのバイクにまたがった数名の追手が私を追い回す。

「今は逃げろ」

崖の向こうから男が私を急かす。

捕まりそうで捕まらない、私は時に戦いながら逃げ続ける。

どれくらいそうしていたのだろう…。

気付くと、私は両手にヒーローの人形を持って、棚に閉まうところだった。

「あぁ、私の空想だったのか…」

子どもの空想ごっこ…逃げていたのも、追っていたのも、あの男も、すべては私。

私は空想で遊ぶ私の夢を見ていたわけだ。

そしてそれすらも夢であったというわけだ…。

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