第12話 新たな展開
「おはよ…」
いつもそれなりに元気に起きてくる彼女にしては珍しく、疲れが取れていない様子の雫が起きてきた。
「おはよう」
先程のことについて考えたかったため、とりあえずそれだけ返して鷲は部屋に戻った。鷲が部屋を出た後、雫はあるものを見つけた。寝る前まで調べていたパソコンの画面だ。視界に入ったそれに、一人静かに焦りを感じていた。もしこれを鷲が見ていたとしたら…本当のことかも分からない都市伝説を、雫は完全に信じ込んでしまっていた。というのも、寝ている間の夢が原因だったりもする訳で…。まぁ、その話は時間のあるときにゆっくりしよう。そして雫はいくつか、寝る前とは違うところに気がついた。
一つ目、鷲とは違う羽が落ちていること。二つ目、何かの爪のあとが部屋の窓にあること。二つ目に関しては、うちの鷲ではないことはすぐに分かった。鷲は意外にも綺麗好きで、部屋に傷なんて付けるわけがない。だとしたら…いや、そんなファンタジーみたいな事があるわけ……あってもおかしくないな。だとしたら鷲とはどんな関係で?何が目的でここに…。頭の中に非現実的な想像がポンポン浮かんでくる。もう既に非現実的な状況にいるのでそれが普通になり始めてきているのだが。あぁ、これは今日も寝不足だな。雫は鷲の目に注意をはらいながら、一人静かにパソコンを開いた。
記事は沢山あるのだが、どれも同じような内容ばかりで新しい情報に辿り着けない。どうしたらいいものか。やはり鷲に直接聞くべきか?いや、それで変な空気になっても嫌だし…。関係者から情報を得るとか…いや、まず関係者って誰だよ…。気づけば約2時間、私の思考は休むことなくフル回転している。流石に疲れているようで、体が糖分を欲していた。私は普段そんなに甘いものは食べないけれど、こういうときは無性に食べたくなる。リビングに行き、テーブルの上に置いてあったチョコレートに手を伸ばす。やはり疲れた時には甘いものだな。美味しかった。
「あ!儂のチョコレート!なぜ食べておる!」
「あ…ごめん」
どうやら鷲のだったみたいだ。
でもそこに置いてあるのが悪いからね。私は何も悪くない。そんなこんなでいつも通り喧嘩?が始まった。鷲もどうやら通常運転みたいだ。今日の鷲はなんだか暗い感じがしていたから、戻ったみたいで良かった。そのとき、私の携帯の通知音がなった。ふと覗いてみると、私の携帯に1通のメールが届いていた。
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お話が進展してきていますね!今後も楽しみに読んでいただけると幸いです!
next→師綺
厄介な鷲、住み着きました。 悲願の菊爺 @panse-mam-lily
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