第12話 平成時代の僕の現状
平成から令和になった。僕は平成時代に何をしてきたのか。
現在37歳。
夜間の警備員。最低賃金の時給で働いている。彼女無し。貯金もほぼ無し。ついでに髪も無い。
一昨日、婚活相談所に登録を断られた男性の記事を見た。
40代で契約社員で手取月10万円。
この一文だけで理解できる。
悲惨だ。
20代の頃の僕ならバカにしていたはずだ。努力していないお前が悪いんだ、その年まで何をやっていたんだと。
でも今は、自分のことのように感じた。
「女性のいる飲み会でも劣等感があり踏み出せない。」「公務員がいい、いい大学出ている人じゃないと…という女性の声を聞いて気後れしてしまう。」
この40代男性の言葉は、本当に僕の気持ちそのままだった。とても惨めな気分。おそらくこの人も僕と同様に不細工なはず。
ネット掲示板のその記事に対する感想は辛辣なものばかりだった。
誰も擁護しない。それどころか犯罪をしたかのような非難だ。気が滅入る。
大学を出て、お金を稼いでいないとバカにされる。価値観は様々なのに、なぜこんなに叩く人間が多いのだろう。
努力しても競争に敗れる人間はいる。それでもこの人達は叩くんだろう。
そして、もし、勝者になっても、議論を呼びそうな発言を少ししただけで炎上する。息苦しい。
ある記事で幸福度ランキングというのを見た。世界各国で日本は156カ国・地域中58位で過去最低だったらしい。
「寛容さ」が92位で順位を押し下げたことが一因だという。
わかる気がする。
ただ、僕にもお金や仕事で人の序列があるという気持ちがあるから、僕自身に劣等感があるのだ。前に進むためには何か1つでも成功しないといけない。
僕はだいぶ前からある資格試験の勉強を始めていた。
行政書士の資格試験。
この資格は、法律系の資格だ。
合格率は8%前後。資格サイトで調べると難易度は難しい資格の分類。
ただ、受験資格がないので高卒の僕でも受けられる。行政書士の仕事は役所に提出する書類を作成するというものだが、あまり内容を想像できていない。
ただ、その肩書きがとても魅力的に思えている。
高卒、警備員、資格無し。
履歴書でも婚活パーティーでも、マイナス要因になる自己紹介しかできなかったのが、
「行政書士のユキです!」
と名乗れる。凄くカッコいい。
行政書士試験というのは300点満点の試験で、6割の180点以上をとれば合格する。
これが恐ろしく難しい。あと一歩で手が届く感じだけどもなかなか届かない状態だった。
ただ、諦められなかった。学歴は今更どうしようもない。でも、資格さえ取れば一発逆転できる。カッコいい自己紹介ができる。
実は、30歳からこの資格の勉強を続けていた。31歳〜37歳まで7回受験した。
そして、7回目の受験をした今回、どうだったのか。
それを次の章で紹介する。
底辺層からの一発逆転を狙って…。
人生オワタ…? 人生オワタ @owata
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。人生オワタ…?の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
「生きる」が分かったから/古 散太
★0 エッセイ・ノンフィクション 連載中 149話
須川庚の日記 その3/須川 庚
★15 エッセイ・ノンフィクション 連載中 256話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます