episode5:昔話~レイside
男子1「やーいおばけ!なんで学校来てんだよ~」
...今日も始まった。小学3年になった日に私はクラスの男子に目をつけられいじめられていた。私が人見知りであまり人と喋れない所や、相手にあまり自分の顔を見て欲しくないという理由で長くしている前髪のせいで「おばけ」と呼ばれるようになっていた。最初はただの悪口で済んでいたが今は殴る蹴るが当たり前になり、今もこうして私に暴言を浴びせながら暴力を振るうのだ。
私も最初は我慢した。そのうち飽きてやめてくれるだろう、と。しかし現実は上手くいかず私の泣く姿が面白いのかいじめはエスカレートしていく。私はある日いじめに耐えられなくなり担任の先生に相談した。きっと先生なら助けてくれる。そう思っていた。
「君の性格が問題なんだろ?なら自分で解決しなさい」
私は言葉が出なかった。いつも周りの生徒から信頼されている先生がこんな事を言うとは思わなかった。私の両親も先生に何度か相談をしているにも関わらず先生は助けてくれないままで、挙句の果てには「この学校に居づらいのであれば転校でもしたらどうですか?」と言ってきたのだ。この時私は感じた。学校には私の味方はいないと。
いつものようにクラスの男子から殴る蹴るなどの暴力を振るわれ、痛みに耐えきれず泣いていた。周りにそれを止める者はいない、私のような地味ないじめられっ子を助けてくれる人なんて居ない。そんな王子様のような人がいるのは創作の世界だけだ。痛い、辛い、苦しい。誰か...誰か助けて。この世界には王子様なんて居ない、そんなこと分かっている。でも...もう私は...
???「お前ら!いい加減にしろ!」
私の意識が途切れかけた時、どこからか男の子の声が聞こえて目の前のいじめっ子を殴り飛ばす。もしかして...王子様が私を助けに来てくれたの...?でも何で私なんかを...。
数日後。私を助けてくれた彼は孤立していた。私を助けるためにいじめっ子を殴った。そのせいで彼は周りの人から怖がらられ、誰も近寄らなくなっていた。彼には感謝の言葉を伝えてちゃんと謝りたい。そして彼を知りたい、話をして彼のことをもっと知りたい。こんな私を救ってくれた彼の事が気になって仕方がない。そんなことを考えながら学校から帰っていると丁度彼を見つけた。私は今しかない!と思ったが声をかけることができない。分かれ道だ。彼が私の帰路とは違う方に曲がろうとしている。このまま彼を帰らせてはいけないと思った私は咄嗟に彼の裾を引っ張ってしまう。
???「なんで君が...」
彼は少し驚いた顔で私を見る。まずはお礼をしないと。これだけは伝えておかなければならない。
レイ「あの、助けて貰ってありがとうございます」
すると彼は少し困った顔をして、ため息をついた後に話を始める。
???「いいよ、俺が勝手にやったことだもん。お礼なんていらないよ」
レイ「で、でも...」
???「話は終わりなの?もう行くよ?」
彼はそう言って帰ろうとする。ダメだ、まだ伝えておかないといけない事がある。このまま変えさせてはダメだ。ちゃんと彼に許してもらわないと。
レイ「まだ話は終わってないよ、あなた私のせいで友達がいなくなったの?」
???「お前のせいじゃない。さっきも言ったけど俺が勝手にやったことだし気に思う必要は無いよ」
私は知っている。彼が私を救った日から笑わなくなったことを。今まで彼と共にいた人も離れていき、彼は孤立した。すべて私のせいだ...。そんなことを考えていると涙が私の頬を伝っていく。
レイ「でもあたしのせいだよ。私のせいだよ...私を助けるために...」グスッ
彼は少し焦った顔をしたあと、すぐに真剣な顔に戻る。
???「お前のせいじゃないんだ。だから泣くのはやめてくれ。別に友達なんてまたすぐに出来る!だから大丈夫だ!」
彼は私を必死に慰めてくれる。やっぱりこの人は私の王子様だ。私なんかを心配して気遣ってくれて、そして助けてくれた。なら次は私の番だ。次は私が彼を支えるんだ。今の彼を見ていると私まで辛くなる。まるでこの世界に絶望した様な落ち込んだ顔も、人を信用出来ずに疑心暗鬼になっている彼を。そこで私は彼にひとつ提案をする。
レイ「なら...私と友達になってよ。今はあなたにも私にも友達が居ないから、お互い初めての友達になろうよ」
???「友達に?」
彼は少し驚いた顔をする。当たり前だ、急に友達になってと言われて驚かない人はいないだろう。
レイ「そう!友達になろう?これからはお互いに困った事とか悩んだ時には助け合おうよ」
彼は少しの間下を向いて考え始めた。どうだろう...友達になってくれるのかな...?私が不安と期待でウズウズしていると彼は顔を上げてこちらを見る。
???「ああ、友達になろう」
...え?てっきり断られるかと思ったのに...。あまりの嬉しさに私は感情を顕にしてしまった。
レイ「え...ほんと?やったぁ!」
私がピョンピョン飛び跳ねて喜んでいると彼は私に聞いてくる。
???「あー、そういや君の名前聞いてなかったよ。名前教えてくれる?」
そう言えば名前言ってなかった。ていうか私も彼の名前知らないんだけど...。
レイ「うん!私の名前はね...尾崎レイだよ!」
彼は「尾崎...よし、覚えた!」と言って頷く。私も彼の名前を聞いておかないと...
レイ「それであなたの名前は?」
???「ああ...俺は...」
「俺は伊月ユウマだ」
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あとがき!
投稿遅くなってすみません!受験などもあって投稿が遅くなりますがこれからもよろしくお願いします!
異能学園で俺無双!?(仮) きなこ餅 @kinakomotiren
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