episode4:昔話~ユウマside

小学3年の頃、俺のクラスでは一人の女の子がいじめられていた。内気な性格と目を隠してしまうほど長い前髪から、クラスメイトからはお化けや幽霊と言われ、挙句の果てに殴る蹴るなどの暴力にまで行うようになっていた。


男子1「やーいお化け~!悔しかったらなんか喋ろよ~」


男子1「お化けだから喋れないだろ~?気持ち悪いんだから早く死ねよ~」


???「うう....ぐすんっ..」


クラスの男子何名かが彼女に悪口を言うのは毎日の事だ。他のクラスメイトは止める気はなく、むしろ影でもっとやれだとか気持ちが悪いと悪口を吐いていた。


ちなみに教師も止める気がない。

いつも彼女に「君の性格が問題なんだろ?自分で解決しなさい」と言い、問題を自分て解決させようとする。


......俺はこんな光景を見てて腹が立っていた。何故彼女はいじめを受けなければならないのか、何故誰も彼女に手を差し伸べようとしないのか。容姿が不気味だから虐める?そんなのは理由になってない。理由があればいじめをしていいという訳でもないがこれは間違っている。


いつもの様にクラスの男子が彼女に悪口を吐きに来る。


男子1「今日も学校に来てるのかよ~!早く消えろよ~」


男子2「そうだそうだ!」


俺は我慢の限界だった。自分で冷静になれと言い聞かせて何とか堪えていたが限界だった。


ユウマ「お前ら!いい加減にしろ!」ブンッ


男子1「痛っ!?痛いよぉ~」ウエーン


ユウマ「おらっ!」ブンッ


男子2「ヒイッ!?」ドスッ


気づいた時には彼女をいじめていた男子二人を殴っていた。それも大きく振りかぶり全力で打ったパンチだ。二人とも殴られた箇所を抑え泣き始めてしまった。周りのクラスメイトがざわつき始める。俺がクラスメイトの方を振り返ると目が合っただけで泣き出す者が出てきた。俺の顔は泣くほど気持ち悪いんですかね...。


すぐに騒ぎを嗅ぎつけて教室に教職員が入ってくる。泣いている男子2名は保健室に、俺は校長室で親が来るまで待機になった。親が合流し、俺は教師二人と父親に今回の騒動について説明をした。すると話は以外にもスムーズに進み、俺は教職員の間ではいじめを止めるための事で仕方がなかった行為という事で軽く怒られただけで済み、後日男子二人の親御に謝罪をしに行くという事で話が終わった。ちなみに担任は今回の事がバレて退職したんだってよ。ざまぁねぇな。


しかし生徒の反応は違う。伊月ユウマは男子二人を殴って怪我をさせた最低なヤツ、という噂が広がり、いじめの対象は彼女から俺へと移った。なんで男子二人が彼女をいじめてた時にその噂を流さないんだよ...。俺だけ嫌な方向に特別扱いされちゃってるじゃねぇか。


俺がいじめっ子共を殴ったあの日から彼女へのいじめはなくなった。代わりに今まで俺の友達だった奴は俺に近寄ったら殴られるのではないかと思い、近寄ってすら来なくなった。そして俺は...




俺は友達を失った




俺の周りには誰も寄ってこない。つい先日まで一緒に遊んでいた友達も今ではもう他人。ああ、これが孤独なのか。これが今まで彼女が味わって来たものなのか...。


学校の帰り道に俺が溜息をつき暗い表情でいると、後から服のシャツをクイッと引っ張られる。俺が引っ張られた方向を見るとそこには俺が助けたあの女の子が立っていた。


ユウマ「なんで君が...」


???「あの、助けて貰ってありがとうございます」


彼女がペコッと頭を下げる。やめてくれよ...俺はお礼をされるために助けたんじゃないんだ。


ユウマ「いいよ、俺が勝手にやったことだもん。お礼なんていらないよ」


???「で、でも...」


ユウマ「話は終わりなの?もう行くよ?」


俺は彼女の言葉を遮り家に帰ろうとする。今の俺と一緒にいたら巻き添え食らってまたいじめられるかもしれないだろ...。しかし彼女はもう1度俺のシャツをぐいっと引っ張る。


???「まだ話は終わってないよ、あなた私のせいで友達がいなくなったの?」


ユウマ「お前のせいじゃない。さっきも言ったけど俺が勝手にやったことだし気に思う必要は無いよ」


???「でもあたしのせいだよ。私のせいだよ...私を助けるために...」グスッ


彼女は今にも泣きそうな顔でこちらを見つめる。やめてくれよ...お前の泣き顔を見たくないから助けたのに、今泣かれたら俺のしたことはどうなるんだ...。


ユウマ「お前のせいじゃないんだ。だから泣くのはやめてくれ。別に友達なんてまたすぐに出来る!だから大丈夫だ!」


俺が必死に慰めるように話す。彼女は「ほんと?」と首を傾げている。俺は「本当だよ」と返事を返す。すると彼女は「じゃあ...」と言って言葉を続ける。


???「なら...私と友達になってよ。今はあなたにも私にも友達が居ないから、お互い初めての友達になろうよ」


ユウマ「友達に?」


???「そう!友達になろう?これからはお互いに困った事とか悩んだ時には助け合おうよ」


俺は確かにこの前の騒動で友達を失った。いつも気軽に相談したり遊んだりしていた仲間ももういない。そして彼女もいじめを受けていて友達もいない。友達のいない者同士が手を取り合って助け合えばこの先辛いことがあっても乗り越えていけるのではないか。かなり精神的にきていたのか普段の俺らしくない考えをしてしまう。でも彼女なら...俺と同じ孤独を理解したことのある彼女となら...。



ユウマ「ああ、友達になろう」


本当の俺を理解してくれるのかもしれない...。


???「え...ほんと?やったぁ!」


彼女はぴょんぴょんと飛び回る。俺と友達になれたことがそんなに嬉しいのか...。


ユウマ「あー、そういや君の名前聞いてなかったよ。名前教えてくれる?」


???「うん!私の名前はね...」



「尾崎レイって名前だよ!」






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ユウマ「お前...もしかしてレイか...?」


レイ「うん...お久しぶり、ユウマ」ニコッ



......俺は言葉を失った。


------------------------------------------------------------------------あとがき


普通に投稿日嘘ついてごめんなさぁい!次はできるだけ早く投稿するので許してください!




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