夜空君、暇だよ~~!





結局、昨日も夜空君と学校で会えなかった……


まあ、準備に追われてそれどころじゃなかったんだけどね。


そして迎えた文化祭。


無理!!忙しい!!死ぬ!!


だって、お客さんからの視線がすごい多いし、そもそもお客さんが多いし、忙しいし……


「疲れたよ……」

「まだ千雪の休憩時間まであるから頑張って~~」

「うん……」


とは言ったものの、頑張れる訳もないし……

っていうか、笑顔をずっと作ってるのって疲れるんだよ!!










そんな調子で頑張ること一時間。

やっと地獄の時間が終わった。


この学校では、2時まで模擬店をして、それから体育館で文化部の発表がある。


休憩の時間になったので、夜空君を迎えに行くことにする。

わたしと休憩時間は一緒だったはずだから、もう終わってるはず。


「すごい行列……」


結構な人数の人が教室の前に並んでいた。

いや、この状態なのに迎えに行くとか……無理ゲーじゃないですか?

だって、並んで入るのもあれだし、かといってこの状況で店員さんに話しかけるのも勇気が……


「あれ?秋川先輩ですか?」


そんな声がしたので振り返ってみると、そこには背の低い男の子……いや、男装した女の子かな?


「う、うん。そうだよ。」

「あ、やっぱり!メイド服も可愛いですね!」

「う、うん。ありがとう。」


この学校では、大抵模擬店のままの服装で店をまわる。

だから、わたしは今メイド服。


「あ、もしかして深星くんに用ですか?」

「う、うん。もう休憩時間だと思うんだけど……」

「確かそうだったと……あ、一緒にまわる約束してたんですね?じゃあ呼んできます!」


そう言うと、(男の子の服装をした)女の子は駆け足で店の中に入って行った。

足、速かったなぁ……


それからしばらくして、店の中から一人の背の高い女の子が俯きながら歩いてきた。

綺麗な子だな。わたしよりも全然可愛いし、スタイルもいいし。

……あれ?なんでこっちに向かってきてるの?


「千雪、待たせちゃった?」


ん!!?

誰!!?


声は完全に女の子。見た目も完全に女の子。言った言葉は夜空君みたい。


どういうこと?


「だ、誰?」

「誰って……あ、そっか。今女装してるんだ………」

「あ、やっぱり夜空君だったんだ。」


まあ、この状況で来るのは夜空君以外いないとは思うけど。

でも、声まで完全に女の子なのは想定外だった。


「その声すごいね。普通に女の子みたいだよ。」

「うん。声変えてるから。」


まあ、星空深夜の時の声が違うことを考えれば声ぐらい変えられてもおかしくなさそうだし、そんなに驚かないけど。


「それもあるけど、顔とか、完全に女の子だよ? ……あ!咲ちゃんに似てる!!」

「…………まあ、兄妹だしね。」

「そっかぁ。だから女の子みたいに見えるのか…………今なら恵果ちゃんの言ってた意味がわかるかな?」

「ん?恵果さんって千雪の友達だよね?なんか言ってたの?」

「い、いや?なんでもないよ?」


まさか、好きな人の女装ってなんか良いって言う話をしたなんて言えないしね。



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