先輩、過酷な労働って良くないですよね……
僕にとって、それは今の状況のこと。
というか、この状況をそう呼ばずにいつ呼ぶのだろうか……
「深星くん!これお願い!!」
「深星!これ作っておいてくれ!」
「深星くん!服のサイズが!!」
家から持参したミシンを学校のコンセントに繋ぎ、作業すること数時間。
いや、この量は無理でしょ。無茶、無謀。というか有り得ないほどの量。
過労死寸前の労働。
僕が今まで作ったのは、背の高い男子用の服を三着、背の低い女子用の服を二着。何故か髪飾りやぬいぐるみ。そして、いま追加で三着の服のサイズ直しと一着を最初から作る注文。
……これ、こなせるのは僕と大翔さんしかいないと思う。
「はい!できましたよ!!」
「おお!流石深星くん!」
そんなあいさつに返事を返す余裕はない。
この後大翔さんたちと打ち合わせがあるのに!!
「深星くん、なんか気迫が凄い……」
「速い!?手の動きが見えないぞ!?っていうか、ミシンってあんな速さ出せたんだ!?」
「……本当に人間か!?」
煩い。誰のせいだと思っているのだろうか。というか、明らかに僕一人に押し付けていい量ではない。
無茶苦茶だ!っていうか、話してる暇あったら働け!!
「これもお願い!!」
「ああもう!!そこ置いておいてください!!」
ついつい大声を出してしまう。
ちっ、最初の予定より僕の負担が多いぞ!!話が違う!
僕が作る筈だったのはサイズ的に市販の服が着れない人だけだったはずなのに、少し緩いとかの手直しもさせられてるなんて!!
ああ、嫌だ。もう帰りたい。
もう夕飯も作りたくない!家帰ってから仕事をしたくない!
「ちっ……最悪だ……っていうか、皆ちゃんと働けよ……」
思わずそう呟いてしまったのは悪くないと思う。
その瞬間、教室内が静まり返ったのは気のせいではないと思うけど。
「……みんな!作業をさっさと終わらせろ!!惨劇が起こる前に!!」
「やべえ!そこ、もっと手を動かせ!!」
「ちょっ!この材料足りないから買ってきて!!大至急!!全速力で!!」
「急げえぇぇぇええええ!!!」
「実行委員会に確認取ってくる!!」
「死にたくないやつは手を動かせ!!」
「「「お前が動かせ!!!」」」
なんか、背後から凄いやる気を感じる。
最初からこのやる気を出してほしいんだけどなぁ!
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