先輩、遺伝?
「咲ちゃん?さっきの賭けには不正があったんじゃないかなぁ?」
「と、言いますと?」
「夜空君のことだから、何かスイカの方向がわかる目印を付けてたりしたんでしょ!」
「だったらどうかしましたか?それも含めての『賭け』では?」
「咲、僕もその意見に賛成。前後の策略も含めての賭けだもん。いくら自分に有利な条件で相手に賭けを受けさせるかが勝負だよね。」
「だよね。お兄ちゃんはやっぱりわかってる。」
「まて、まさか夜空君も僕との賭けの時に何か仕込んでいたのかな?」
なんかすごい疑いの目を向けられている……
「いえ、違いますよ?ただ、咲が先輩を復活させる方法として一番可能性が高かったのが『僕を協力して惑わす』だっただけです。後は大翔さんが乗ってくれるように『それ以外』という大翔さんが有利に見える条件をつけただけです。」
「あ、私も同じ感じですよ。お兄ちゃんなら絶対に何かスイカの方向がわかる仕掛けをしますから、『お兄ちゃんは一回で命中させる』というあたかも当たらなそうなところに賭けただけですからね?何も不正なんかしていませんよ。」
「全く……この兄妹は……顔とそんなところばっかりそっくりで……」
「「よく言われます。」」
あ、咲と言葉被った。
やっぱり兄妹は似るんだね。
「じゃあ、そういうことで、夕飯の荷物持ちお疲れ様です。ご愁傷様ですね。そもそも私は何も持てませんので、お兄ちゃんと家でお留守番です。そうなるのは最初から決まっていましたから、二倍の荷物持ちご苦労様です。」
そう。この賭けは、最初から勝負はついていたのだ。
仮に僕が負けても、咲と留守番するからと言って逃げれた。
咲が賭けに参加したのは、誰かが荷物を持たないという状況をなくすため。
これは、いわばどう転んでも僕たち兄弟は『負けない』賭けだったのだ。
それに乗ってしまった大翔さんが哀れでしょうがない。
ま、それも面白いんだけどね。
「お兄ちゃん。悪い顔したくなる気持ちは分かるけど、大翔さんが睨んでるからやめた方がいいと思う。」
「え?だって、僕たち兄妹の手の上で踊ってただけだと思うと面白くない?」
「……ぷっ。すごく面白いと思う。」
「だから!!なんでそう言うところばっかり似るのさ!!」
「「遺伝?」」
「もうやだこの兄妹。」
うん。大翔さんのこういう姿。面白い。
他人の不幸で飯が美味いというやつかもしれない。
それより、先輩と会長が少し引いたような目でこちらを見ているのは気のせいだと思いたい。
いや、気のせいではなく、大翔さんを憐れんでいるのだと思うことにしよう。
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