先輩、日焼け止めは?





三人の水着姿は、女神達と表現するのにふさわしいものだった。


大翔さんの目は会長に釘付けになっている。


大翔さんに見られている会長は、ホットパンツ風の見た目の水着(なんか名称があるのかもしれないけど知らない)を穿いていて、そこにパーカーを羽織っている。パーカーの内側は見えないが、きっとこの状況で大翔さんがそれを見たら気絶するだろう。

そして胸元には鳥の羽のような細工がしてあり、真ん中には青色の硝子のようなものが埋め込まれているペンダント。

そういえばあのペンダント、大翔さんがプレゼントしたって言ってたな。


会長に背負われている咲は黒いワンピース型の水着。

正直、妹なのでかわいいとしか言いようがない。

どうしても身内のひいき目が入ってしまいそうだ。まあ、ひいき目なんかなくてもかわいいと思うけど。


最後に、問題の・・・先輩。

露出が極端に多い水着(ビキニっていうの?)を着ていて、その真っ白な陶器のようで、水晶のように透き通る肌を惜しげもなくさらしている。

いつもは隠している部分が見えて、先輩のスタイルの良さと可愛さがさらに引き立ってるし、いつもはピンで留めている髪を今日は留めていないのが、ちょっと特別感があって、さらに可愛い。

あれ?可愛い二回言った?


まあ、それぐらい可愛い先輩のそんな姿に、僕も男子高校生ではあるので、一瞬理性と本能の戦いが起きるのを、どうにかして本能を抑え込んだ。


「よ、夜空君?ど、どうかな?やっぱり露出が多すぎたかな?」

「……い、いえ………」


もう何も言えない。

というか、これは反則かもしれない。

いや、断言する。これは反則です!!


「ねえ、そういう中途半端な反応やめて……」


!!?


顔を赤くしながらそんな不安げな声出さないでくださいよ!!


「に、似合ってると思うよ。」


それ以上の感想はない。

これほんと。


先輩は身長は低めだけど、出るとこは出てて引っ込むところは引っ込んでいるので、本当にこういう服装されると困る。色々な問題的に。


「千雪。たぶんそれ全国の青少年には刺激が強すぎるからもう少し隠したほうがいいと思う。」

「うーん。じゃあ夜空君の着てるそれ貸してよ。」

「それってこのラッシュガードですか?」


僕は自分の着ている長袖でフードが付いているラッシュガードを左手で軽くつまみながら尋ねる。


「うん。それ。」

「それは嫌です。じゃあそのままでいいよ。」


あ、今敬語使っちゃった。ま、これくらいならいいかな。


「いいんならいいよ。別にわたしが日焼けしてもいいなら。」

「日焼け止めは?」

「塗ったけど、落ちちゃうかもしれない。」

「じゃ、これでも着ててください。」


何となく日焼けをさせるには惜しいと思った僕はそう言いながら念のため持ってきたもう一つのラッシュガードを投げて渡す。

なんか今日の僕はいつもより欲望に忠実な気がする。

健全な男子高校生なら普通………だよね?


水着の力って怖い。


「ありがとう。」


先輩はそう言うと、渡したラッシュガードを着始める。


「夜空君………これ、大きすぎるよ……」

「あ、ワンピースみたいになってますね。袖無茶苦茶余ってるし……」


なんか可愛さが倍増した!?

なんか抱きしめたくなるような可愛さがある気がするのは気のせいではないと思う。


「うん。動きにくいよ。助けて!夜空君!」

「そんな、有名な耳のない青い猫のロボットを呼ぶ、みたいな言い方しないでください!それに、大きいのは仕方ないですよ。メンズのLLなんですから。」

「あ、どーりで。前にお父さんのを着た時より大きいなーって思ったから。」

「まあ、千雪はあまり背が大きくないから、千雪のお父さんもそんなに大きくなさそうだよね。」

「んー大きくないのかな?172っていってた気がするけど。」

「あ、じゃあ小さくないね。じゃあ、袖まくってあげるからちょっと来て。」

「ありがと!わたしこういうの苦手で。」

「みればわかるよ。」


なんか知らないけど袖が変なことになってるし。



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