先輩、準備したら?




「本当に?」

「本当ですよ。それに、僕が原因で先輩の楽しみを奪ってしまったらそっちの方が具合悪くなりそうです。なので、遊びましょう。」


もう準備しちゃったし。

せっかく準備をした以上は遊ばないと損な気がするのは日本人のもったいない精神なのかな?


「本当に大丈夫なんだね?」

「だから大丈夫だって。」

「ほんとのほんとに?」

「ほんとのほんとに大丈夫。」


そのまま先輩はじーーと僕の目を見てくる。

なんか恥ずかしい。


「そこまで言うなら信じるけど、これからは勝手に居なくならないでね?心配するんだから。」

「わかってまs……わかってるよ。こんなに探されるなんて思ってなかっただけだから。」


やっぱり敬語は慣れないなぁ。


「じゃあ、他の人も呼んで準備しよっか!」

「あ、もう個人の水着以外は終わってるよ。言ってなかったけど。」

「え!?本当に!?さすが夜空君、仕事が早い!!」


そう言うと先輩は急に飛び掛かってきた。


「………当たってる。」

「ん?何が?」

「いや、何でもないで……何でもないよ。」


危うく敬語を使いそうになった……

敬語しんどい……


「そういえば他の人は?見てませんけど。」

「ん?もう帰ってると思うよ。」

「そっか。ずっと準備してたから気が付かなかった。じゃあ、千雪も準備したら?早くしないと時間なくなっちゃうよ?」

「あ!!確かに!じゃあ、わたし準備してくるね!!」


先輩はそう言うと凄い速さで部屋を出ていった。







「遅いね~。」

「女性は準備に時間がかかるものなんですよ。たぶん。」


女性陣から『先に行ってて!』と言われたので、僕と大翔さんは砂浜にレジャーシートやビーチパラソルなどを準備して待っている。

ちなみに天輝は仕事があるからって帰った。


「それにしても誰もいないねぇ……こんな暑いなら誰かいても不思議じゃないのに。」

「プライベートビーチですからね。ここ。」

「え?」


何故か僕の一言に大翔さんが大袈裟に驚く。


「そんなに驚きますか?」

「……いや、夜空君があの『星空深夜』だって忘れてた。」

「まあ、そりゃそうだとしか言いようがありませんね。」


実際、僕にはあんな曲とかかけないし。


「そろそろ来るかな?」

「流石に来ると思いますよ。あ、噂をすれば。」


僕がそう言ったタイミングで、女子三人(咲は会長に背負われてる)が家から出てきた。


彼女たちの姿に大翔さんと僕は固まるしかなかった。




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