夜空君、十分かっこいいよ!




一時間後…


「先輩、時間かかるなら、どうして僕を急かしたんですか?」


先に靴を履いた夜空君が少し目を細めながらそう聞いてくる。


「むう…だって夜空君思ったより準備に時間かかんないんだもん。」

「男子ですからね。」


そんなもんなのかな?


「男子でも服とかに気をつけるのは大事だよ?」


夜空君、ただでさえかっこいいんだから、もう少しおしゃれとか美容とか考えればいいのに………って、今思ったけど、何もしてないのにこんなにかっこいいのってすごくない!?


「あ、もしかして僕の服似合ってませんか?」


ああ!誤解しちゃった!!違うよ!!十分かっこいいよ!!


「そ、そう言うわけじゃないけど、ただでさえ夜空君はスタイル良いし、顔も整ってるから、もっとおしゃれすればいいのにって思っただけで……」

「? ありがとうございます?」


あれ?わたしなんか変なこと言った?

なんか反応がおかしいんだけど?

あ、もしかしたら、焦ってたから、変なこと言ってた!?


「とりあえず行きましょうか。」

「そうだね。」


確かに、ここで止まってても意味がないよね。

わたしは夜空君に手を差し出す。


「どうしたんですか?」


夜空君は相変わらず察しが悪いなぁ……

ほんっと鈍感だよね!


「むう……手をつなぐに決まってるじゃん!」

「はあ、良いですけど……」


夜空君はそう言うと、少し手をこちらに出してくる。わたしは逃さないように、すかさずその手を握る。

少しひんやりしてて気持ちがいい。


「じゃ、行こうか!」

「は、はあ……」


あれ?少しテンション低い?








「先輩、こんなに荷物いるんですか?」


荷物を大体整理し終えたところで、キッチンとかを見ていた夜空君がそう聞いてくる。


「だって、着替えって必要でしょ?それに女性には色々必要だし……」


わたしがそう言うと、一瞬納得したような表情を見せた後、残ったバッグを指差す。


「……先輩、これは?」

「ん?『深夜』のCDとラノベと漫画とかだよ?わたしすっごいファンだって前に言ったでしょ?」

「先輩、曲はスマホに入ってるし、ラノベと漫画は読破してるんでしょう?」


そう、そうなんだけど!!


「むう、確かにそうなんだけどね……持ってたいじゃん?」

「同意を求められても困ります。」


むう……同意は得られないか……

じゃあ、仕方ないかな。夜空君があんまりいい顔してないし。


「そっか……じゃあ諦めようかな。」

「それが良いですよ。僕そんな持てませんし。」

「え?持ってくれるの?」


そんなこと言ってた?


「え?じゃあ何のために僕来たんですか?」


好きだから、なるべく近くにいたかったから……とは言えないし………


「………」

「………」

「か、監視?」

「………」

「………」

「とりあえず荷物はこれで終わりですか?」

「う、うん。」


な、なんか気まずいな……

というか、監視って、なに言ってんの?わたし!!


「じゃあ行きましょうか。」


うう……スルーっていちばんこわいんだよ!!



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