夜空君、わたしの見たでしょ?
夜空君は諦めたのか、「はぁ…」と小さくため息を吐く。
「で、どうしろと。」
「今日の朝のことは忘れて、ね?」
「先輩。僕の記憶力を舐めないでください。伊達に高校三年生までの教科書を暗記していませんよ?むしろ忘れたいことも忘れられなくて困ってるくらいなんですから。」
そうだった!!夜空君は五年前の昼食を覚えてるレベルで記憶力がいいんだった………一割でも分けてほしい……じゃなくて!!
「むう……じゃあ、買い物に付き合ってよ。」
「何でですか?」
「だって夜空君、わたしの見たでしょ?」
わかってるくせに!!白々しいんだから!!
「何を?とは聞かないでおきます。それ以前に、寝るときに薄着になるのは如何なものかと。せめて、見えないとこに隠しておいてくださいよ。」
「見たことは否定しないんだ…じゃあ、責任とってよ!!」
言質取ったよ!!
「嫌です。ほら、冷め始めてますよ?」
話題変えないでよ!!
「だって……乙女のあれをみてそんな…」
「はい、僕はこのことを忘れる努力をする、先輩は深く考えない。これでこの話は終わりにしましょう。僕とて、先輩を論破したくはありませんからね。」
むぅ……ちょっとむかつくから、いじわるしようかな?
「ふーん。でも、昨日負けたよね?」
「先輩、相当論破されたいようですね……」
「ごめん!!この話は終わりにしよう!」
うう……夜空君は正論と言う名のナイフで正確に弱点を突いてくるんだよ!怖いんだよ!!
まあいいや。努力はしてくれるらしいし、脱ぎっぱなしのわたしも悪かったし……
明日からは気を付けよう。
あ!!忘れてた!夜空君にお願いしたいことがあったんだ!!
事件のせいで忘れてた!!
「ねえ、夜空君。この後、一回家に着替えとか取りに帰りたいんだけど、ついてきて、ね?」
「もうここに泊るのは確定なんですね。まあもうあきらめたので、いいですけど。」
やった!!
少しでも長く夜空君と一緒にいられる!!
「じゃ!わたしが食べ終わったらさっそく行こうか!早いほうがいいよね?」
そう確認するように言うと、夜空君は小さくうなずく。
「いいですよ。どうせ今日も引きこもりの予定しかなかったんで。」
うん!決定!!
「じゃあ食べちゃうね」
そう言ってわたしは、急いで朝食を食べる。
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