夜空君、顔近くない?



「先輩!起きてください!」


意識がボンヤリする中、何故か焦ったような声が聞こえてくる。


「ううん……」


もう少し寝かせてよ………眠い……


「先輩、起きてください。じゃないと……」


そう声の主が言った直後、耳に息が吹きかけられて、全身を不思議な感覚が襲う。


「ふえっ!?」


思わず変な声が出てしまう。

え?何?誰?


そう思って見ると、そこにいたのは……


「よ、夜空君!?」


わたしの好きな人だった!


「はい、おはようございます。」


至近距離でそう言ってくるので、すごく恥ずかしい!


「か、か、顔近くない?」

「あ、すいません。」


夜空君はすぐに離れてくれる。

よかったぁ……びっくりしたぁ……


「お、おはよう。」


わたしがそう言うと、夜空君は少し顔を赤くしながら、下を指差す。


「先輩、朝食はできているので早くズボンとか穿いてください。」

「へ?ズボン?どういう……こ……ふあ!?」


ああ!!そうだった!!

いっつも寝るときはズボンとか脱いでるんだった!!

ということは、夜空君にわたしの、ブ、ブラが!!!


「先輩。下で待ってますね。」

「あ、う……うう……」


恥ずかしい!!

もうお嫁に行けないよぉ……









「夜空君。」

「何ですか?冷める前に食べましょうよ。」


もう、わたしはこんなに恥ずかしがってるのに、そんな何でもないような表情して!!

なんか悔しい!!


「なんで入っちゃったの?」

「ああ、朝に部屋に入ったことですか?」


何でそんな天気の話するみたいな調子で言うかな?


「うん。」

「先輩、言わせていただきますが、僕が入らなかったら起きましたか?」

「うぐ!」


夜空君の正論にぐうの音も出ない。「うぐ」とは言えたけど。


「それに、僕は先輩がズボンをはいていなかったことしか見ていません。」

「嘘……ズボンとか・・って言ってたもん。」


ちゃんとわたしは覚えてるんだからね!

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