先輩、なんですかその連帯感!




「――というわけで、僕と先輩はいかがわしい関係ではありません。」

「「「なるほど。大変だね。」」」


僕と先輩の関係と現状を説明するのがこんなにしんどいとは思わなかった……


「で、そっちの三人は何の用なんですか?お願いがあるとか言ってましたけど。」

「ああ、それの話ね!今は、夏休みでしょ?」

「そりゃあね。」

「で、皆で海に行きたいなぁって思ってさ。」


海……海、かぁ…


「なんで?」

「最近行ってなかったから行きたくて。」

「僕たちも行きたいから、ついでにお願いしたんだ。」


大翔さんもか!


「いいね!!海!!」


先輩も!?


「それは分かりましたが、僕にお願いとは?」

「お父さんのホテルの部屋借りれないかなぁって思って、お兄ちゃんから聞いてみてくれない?」

「たぶん無理だよ。最近は部屋が満室らしいからね。」

「『星空深夜』がCMの曲をしたからでしょ?なんで受けちゃったんだろうね。ね、お兄ちゃん。」


うっ………だって、父さんの経営してるホテルだし………


「はぁ………先輩も行きたいんですよね?海。」

「うん!行きたい!」

「そうですか………」


仕方ない。先輩と妹のためだ。


「要は海の近くの泊まれる施設があればいいんですよね?」

「「「「うん。」」」」


声を揃えないでもらいたいなぁ……


「わかりました。それなら、行きましょう。海に。」

「え?夜空君、ホテルの部屋空いてないんでしょ?」

「まあ、空いてませんね。」

「でも、海に行くの?」

「はい。」

「「「「どういうこと?」」」」


だから声を揃えないでって。


「僕にいい考えがあります。」


僕がそう言うと、皆が一気に詰め寄ってくる。


「え?どうするの?」

「どういうこと!?何処に泊るの?」

「なに?気になる!!」

「勿体ぶらないで教えてよ!」

「全員で一気に言わないで!!」


煩いだけだから!!


「「「「どういうこと?」」」」

「声をそろええばいいってわけでもありません!!っていうか、なんですか?その連帯感!!なんでそんなに仲良しなんですか!?」


何なの?このコント。


「とにかく、行く当てはあるので、心配しないでください。」


全く……先輩一人でも疲れるのに、全員集まると胸やけ感が半端ない……


「みなさんはもう準備出来てるんですか?」

「僕の家にあるから、心配しなくてもいいよ。」

「会長と大翔さんはOKっと。咲は?」

「まだだよ。お兄ちゃんと一緒に準備しようかと思って。」

「咲と先輩は終わってないっと。じゃあ、僕は海に行ってる間の分の『仕事』をしておかないといけないので、大翔さんと会長さん、今から買い物とかの二人の準備を手伝ってあげてください。」

「りょ!で、いつから行くの?」

「いつでもいいですよ。なんなら明日からでも。」


僕がそう言うと、大翔さんが考え始める。


「交通手段は?」

「知り合いに車を出してもらいます。」

「そっか……じゃあ、明日の朝九時にここ集合でいいかな?」

「みなさんが良ければ。」


僕がそう言うと、大翔さんは会話に置いてけぼりの三人のほうを見る。


「いいですよ。」

「いいと思うよ!」

「いいんじゃないかな。」


うん。三人ともそれでいいのか。


「じゃ、決定で。」


そんなこんなで、僕たちは夏のイベントの一つ、海に行くことになった。


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