先輩、二人で食べたほうがおいしいですよね?



「おはよ~。夜空君。」

「はい、おはようございます。先輩。」


僕が朝食を作っていると、先輩が目をごしごしと擦りながらリビングに入ってきた。


「よく眠れましたか?」

「うん。寝れたよ……それより、昨日はわたし、あのまま寝ちゃっててごめんね。」

「いいですよ別に。それより、僕の作曲の風景を見て、なんか収穫はありましたか?」

「夜空君はやっぱりすごいってことがわかったよ!」


そんなにすごいかなぁ?

自分ではわからないからよくわからない。


「まあ、何かしらの収穫があったなら、先輩を部屋まで運んだ甲斐がありました………と、朝食が出来ましたよ。」

「ありがとね!」


うん。先輩の笑顔で苦労なんか吹っ飛ぶなぁ………


「いえ、むしろ感謝するのはこっちかもしれません。先輩が来てから、ご飯がおいしくなりましたから。」

「ん?どういうこと?」

「まず、二人で食べたほうがおいしいですよね?」

「うん!そうだね。」

「で、僕はそもそも食に関するこだわりがないので、一人だと碌なもの食べないんですよ。なんか自分の為だけにしっかりしたのを作るのも面倒で。」

「一人でもしっかり食べなよ……」


そう言われましても、一人だとやる気が……ねぇ……


「ま、それはいいとして、食べましょうか。」

「うん!」


僕と先輩は手を合わせると、声を合わせて言う。


「「いただきます」」


うん。一人よりも全然いいや。家事が増えるけど。







――ピンポーン。


「ん?」


食べ終わって食器を洗っていると、インターフォンが鳴る。


「先輩、僕が出ます。」


何となく面倒ごとになりそうな予感がしたけど、出ないわけにはいかないので、出ることにする。


「はーい。どちら様で………え?」


そこにいた人物に、思わず声が出てしまう。


そこにいたのは、従兄である副会長と、その彼女の生徒会長。

それと、車椅子に乗った少女、深星ふかほしさきだった。


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