先輩、何で急かしたんですか?



一時間後…


「先輩、時間かかるならどうして僕を急かしたんですか?」

「むう…だって夜空君思ったより準備に時間かかんないんだもん。」

「男子ですからね。」


というか、女性の準備の時間が僕にはよくわからない。

何であんなに時間かかるの?


「男子でも服とかに気をつけるのは大事だよ?」

「あ、もしかして僕の服似合ってませんか?」


今の僕の服装は、チェックの半そでシャツにジーンズ、左手首には青い星のついたブレスレットという感じだ。

特に変というわけではないと思うが、先輩が気にした方がいいというレベルで変なのだろうか?


「そ、そう言うわけじゃないけど、ただでさえ夜空君はスタイル良いし、顔も整ってるから、もっとおしゃれすればいいのにって思っただけで……」

「? ありがとうございます?」


あれ?今なんで褒められたんだろう?

まあいいか。


「とりあえず行きましょうか。」

「そうだね。」


そう言うと、先輩は手をこちらにだしてきた。

何?この手。


「どうしたんですか?」

「むう……手をつなぐに決まってるじゃん!」


いや、決まってませんけど?


とか言っても無駄そうなので、言わないでおく。


「はあ、良いですけど……」


僕が先輩のほうに少し手を出すと、すかさずその手を掴んできた。

いや、反応早すぎない?


「じゃ、行こうか!」

「は、はあ……」


僕は先輩に連行される形で先輩の家に向かった。













先輩の家の二階の先輩の部屋。

そこで僕はとある疑問を口にする。


「先輩、こんなに荷物いるんですか?」

「だって、着替えって必要でしょ?」


そう言って先輩は一つのスーツケースを指さした。


「それに女性には色々必要だし……」


そう言って茶色の大きい鞄を指さす。

あれ?指さしてないのがあったぞ?


「……先輩、これは?」


僕はそう言いながら、何気に『女性に必要な色々』よりも大きい青色の鞄を指差す。


「ん?『深夜』のCDとラノベと漫画とかだよ?わたしすっごいファンだって前に言ったでしょ?」


先輩の言う『深夜』とは、『星空深夜』というアーティストのことで、歌を歌ったり、ライトノベルを書いたり、漫画を描いたりと、色々なことをしている。

まあ、僕にはなんで先輩がファンになったのかはわからないのだけど……


「先輩、曲はスマホに入ってるし、ラノベと漫画は読破してるんでしょう?」

「むう、確かにそうなんだけどね……持ってたいじゃん?」

「同意を求められても困ります。」


僕にそんなオタク精神はないからその感覚は分からない。


「そっか……じゃあ諦めようかな。」

「それが良いですよ。僕そんな持てませんし。」

「え?持ってくれるの?」

「え?じゃあ何のために僕来たんですか?」

「………」

「………」


え?

僕、荷物持ちじゃなかったの?

てっきり荷物持ちなのかと……


本当に僕なんで来たんだ?


「か、監視?」

「………」

「………」


長いための後に言ったのが監視?って……

意味わからないうえに、疑問形で答えられても困る。


「とりあえず荷物はこれで終わりですか?」

「う、うん。」

「じゃあ行きましょうか。」


僕はそう言うと、スーツケースと大きい茶色の鞄の両方を持つ。

うっ!重い!

でもまあ階段を下りれば、あとはコロコロになるから……


ちなみに先輩は青い鞄を持っていた。

結局持っていくんだな。それ。


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