先輩、起きてください!
朝。
窓から差し込んでくる朝陽が眩しい。
僕は目覚ましを見て、時間を確認する。
六時くらい
僕はゆっくりとベッドから体を起こすと、まだ眠くてよく動かない脳と体を最大限使ってパソコンの前に座り、電源を入れる。
僕はパソコンを開くと、『仕事』を始める。
『仕事』に区切りをつけた僕はTシャツとジーンズに着替えると、一階に降りる。
そのままキッチンに入ると、卵とベーコンを出して、それをフライパンで火にかける。
確か先輩にはアレルギーとかはなかったはずだから、気にしなくていいのはありがたいな。
さて、朝食のトーストも焼けたし、先輩を起こしに行きますか。
エプロンを取り、二階へと上がる。
僕の部屋の一つ隣が先輩の部屋だ。まあ、元は客間だったのだけれど。
「先輩、起きてくださーい。」
僕はノックをして、ドアの外からそう呼びかける。
――返答無し。
「先輩、起きないと入って寝顔視ちゃいますよ。」
僕は再びそう言うが、応答なし。
「じゃ、入りますよ。」
僕が意を決して入ると、先輩は以外にも普通に寝ていた……ように見えたが……
「ッ!!!」
床に落ちていたものを見て、僕は声にならない悲鳴に上げる。
それは、女性が胸に付けるであろう『あれ』(とっさに名前が出てこなかった)と、僕が昨日貸したはずのズボン。
それが落ちているということは、今の先輩は……
僕は恐る恐る先輩のほうを見るが、先輩は毛布に包まっていたので、
が、それでも一刻も早く起きて、しっかりと服を着ていただきたい。
僕は先輩をゆすって、起きてもらう。
「先輩!起きてください!」
「ううん……」
先輩はそう言ってさらに丸くなってしまう。
仕方ない。『アレ』を使うか。
僕は自分の口を先輩の耳元に近づけて、優しい声をイメージして囁く。
「先輩、起きてください。じゃないと……」
「ふえっ!?」
先輩は変な声を上げると、パチッと目を覚ます。
「よ、夜空君!?」
「はい、おはようございます。」
「か、か、顔近くない?」
「あ、すいません。」
顔が真っ赤になった先輩から僕は離れる。
うん、先輩はどうも耳が弱いらしいんだよなぁ。
だから良くこの技は先輩が昼休みに寝て起きない時に使っている。
「お、おはよう。」
「先輩、朝食はできているので早くズボンとか穿いてください。」
「へ?ズボン?どういう……こ……ふあ!?」
先輩は床に落ちているズボンといまだに名前が思い出せない『あれ』(意識的に情報をカットしている)を見て、変な声を出す。
さらに真っ赤になった先輩は可愛い。
「先輩。下で待ってますね。」
「あ、う……うう……」
先輩が何か布団枕を顔に押し付けながらうめいているが、意図的に無視してその場を離れる。
いや、だってさ、ここで僕が何か言っても解決するとは思えないよね?
というか、異性の家であんな格好で寝る方が悪い……と思いたい。
早くおかえりいただきたいけど、無理だろうなぁ……無理だよなぁ……
先輩自体はプラスなのに、こういうところでマイナスをかけるので、結果プラスかけるマイナスでマイナスになってるのが残念で仕方ない。
はあ……朝からこれとか、これから僕の心持つのかなぁ……
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