夜空君、困るよ!

ふう……落ち着けわたし。

夜空君なら、泊めてくれるはず!


「実はね、暫く夜空君の家に泊めて?」

『……へ?何があったんですか?』


電話の向こうからそんな少し心配そうな声が聞こえてくる。


「うーんとね、父さんが海外で働くから、今日から海外に行っちゃって、母さんもそれについて行っちゃったの。」

『はい、それで?』


ええ?これ以上何を言えと?


「泊めて?」

『先輩、過程を飛ばしすぎです。もっと詳しく。』


ああ、そう言うこと!!

確かに、お父さんもお母さんもいないから泊めてって言われても分からないか…

仕方ない、言うしかない。


「わたし、炊事も掃除も洗濯もできないことに今気が付いて…」

『親戚の方は?頼れないんですか?』


え?家事出来ないことに関してはスルー!?


「青森と福井だから、ちょっと頼れないかな。」

『誰か女子の友達はいないんですか?』

「わたしの友達は夜空君だけだよ?」


気まずい沈黙。

出来たらわたしも夜空君に迷惑はかけないんだけど…


『先輩、掃除、洗濯の仕方は教えますし、食事に関しては僕が毎食持っていきますから。』


そ、それは困る!!

ん?困る?何で困るんだろ……あ!もしかしてわたし、実はすごいチャンスだとか思っちゃってる!?

いや、それはない!…って言いきれないわたしがいる。

だって夜空君わたしが好きなことに気が付いてくれないんだもん!!


「でも……大変でしょ?」


夜空君の心配のふりして、わたしがすんなり泊めてもらう作戦!!


『大丈夫ですよ。それくらい。』


は、ズバッと一刀両断。効果はなかった。


「いや、そっちがいい。いや、ぜひ行かせてください。」

『先輩、何でそこまでこだわるんですか?』

「なんでも!」


うん、我ながらいろいろおかしいとは思う。でも、ここで折れる訳にはいかないんだ!


『はあ…埒があきませんね。』


うん、わたしも今そう思った。


『今家ですか?直接話したほうがいいと思うので、今から行きます。』

「いや、今……夜空君の家の前に居るの。」


そう言うと、向こうからいつもは決して聞けない声が聞こえてきた。


『はあ!?』


ガタン!ズガガガ!


なんかすごい音がして、すぐ玄関が開いた。

そこから出てきたのは、百七十五センチくらいの、すっごくイケメンで、スタイルが良い、わたしの好きな人が出てきた。


「来ちゃった。てへ。」


わたしがそう言ってそう言うと、夜空君は固まる。


あれ?やらかした?ヤバい!最初から失敗か!?

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