第4話 生きていて

雷が落ちた

落ちたのは僕の目と鼻の先

降って湧いた災いに恐怖を覚えながら

生きていて良かったと安堵する


変わりたての青信号

一分一秒が惜しく駆ける僕

僕の耳を劈くブレーキ音

僕の行く先を遮る様に止まったトラック

後数歩 その差の命に心拍数が上がる

ああ 生きていて良かったと息を吸う



それを間近に感じなければ

気付く事のできない喜びを

僕は明日忘れるだろう


だから今この瞬間に

鼓動を感じ 温もりを感じ

痛みを感じ 苦みを感じ

ありったけの生を噛み締めて

満面の笑みを浮かべてみる


一寸前の恐怖も痛みも苦しさも

一寸先の喜びに繋がっている


明日は忘れる真実を思う存分堪能し

僕は一瞬の今日を生く

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群像詩 @sazue

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