包丁が消えた

@michacho

第1話

・ここで語るのは包丁が消えた話ではあるが、その前に嫌なものを見てしまったこのかわいそうな青年の心を落ち着かせるために狂信的ではあるが少し余談を記させてくれ そしてこの軽い口調に私の人格を疑うであろう だかおかしいのは私ではない 本編も私の心を鎮めるためなのだが、、 では始めるか、  


唐突な問いをするとしよう、今何がしたいだろうか?ー何が食べたいー (変な質問ではあるが)全ては「性」につながっている、、だろ?、  いや、こんなこといきなり言っちゃいけないな、、まあ、とにかくだ 「人間の三大欲」というものを知っているだろう。その中で一番、最重視するべきものは何か?当たり前だが「性欲」だ。つまりはリビドーである。

子孫を欲することにより後世に継ぐことがなければ「睡眠欲」も「食欲」も何もない。人間の行動、全てが「子孫繁栄」につながっているとは思わないか?これは戯言などではない、極論である。

必死に働いてお金を稼ぎ、食を求めスーパーマーケットに行くのはなぜか?ー餓死して子孫を残せなくなるのを防ぐためだ、冬にこたつを欲するのも凍死して子孫を残せなくなるのを防ぐためだーインターネットに娯楽を求めてしまうのも退屈死を防ぎ、、防衛本能と呼ぶべきだろうか、、洒落た服を着てちょとでも女の子をひっかけたいのは私だけであろうか 戦争をするのもラブホテルを少しでも建てるためではないのか?外でいうベッドタウンだ、、いやそんなことを言ったら失礼だな、

ということで少子化問題に立ち向かうため皆で下ネタの恒常化に努めようではないか さあ!

いや、しかしだ、私としては世界のために日本の少子化問題については諦めてほしい。(矛盾し始めた)

というのも予想では2030年、地球の人口が80億人を突破し21億ヘクタールの限界が訪れるのである。この問題についての危機感が地球市民はなさすぎるとは思わないか?地球単位の問題を地球市民として討議する姿勢が見受けられない!なんてことであろうか!世界情勢に詳しい雰囲気を出しといて実はそうではないといったかっちょの悪い真似は某、したくはないのであらかじめことわっておこう、、

そしてだ、何を言いたいかというと 中国では一人っ子政策(もう廃止されたが)と言っておきながら日本では少子化問題で子供が足りないなどと、仰らないで欲しいということだ。同じ惑星の民として、端くれとして意見を合わせようではないか。、、と言いついつも私たちにできることは神社に行き参道を中央を避けて通り「科学者さま頑張ってください!」と祈るだけである。二拝二拍手一拝を忘れずにな!そして革新的な何かを待ち続ける。

ということでだ、、全国の青年たちよ!2030年以降もHをしたいのであれば、聖母乳房様を拝み続けたいのであれば、しばし行為を慎んでほしい。

そして全国の高貴で物腰のおしとやかな淑女の皆様!2030年以降、着物を毎日、左前で着たくないのであらば、どうか挑発をせず生活していただきたい。

結果として明日からは皆で下ネタの抑制に努めようということだ。以上。何を記しているのか私の心は何も変わらなかった。

しかし今では、そんなくだらないことを考える余裕のあった日々を羨む毎日である。あの日の朝だ!この出来事を聞いて私を卑下し道徳的感受性の鈍さを憐れんでほしい!この呪縛がいつか解けることを祈っている。この話は一旦切らせて欲しい。愉快な話で終わらせたいのだ。


・まずこの一連の物語を語り始めるとすれば包丁が消えたところから話さなくてはならないだろう。

私たちの家族、鈴木家は極端に異常なものではなかったと思う。高校1年生の私、勉が家に帰るといつも中学生の妹は先に家に帰っており専業主婦の母、洋子が出迎え、後から高校3年生の姉、幸子からの 

父、と続いて帰ってくるのである。5人家族、周りから見れば普通の家庭だったんではないだろうか?

包丁がないのに最初に気が付いたのは、母である。朝、子供の弁当を作る時だ。柄が木の万能包丁である。

その前日の夕飯をつくるときには包丁は確かにあったそうなので無くなったのは、夕飯~朝食の間ということにある。夜に消えたなんて物騒だと思った。そして姉と父が帰宅する前、母とのたわいもない会話の中でその事実について聞いた。「怖いねー」なんて 気楽に話していた.別に大事でもなかった。買い替えれば済む話である。

そしてその出来事はあまりに唐突であった。そう、突然、、

それから3日後の朝である。その日の朝が私の精神に深手を負わせたことは言うまでもない。

その日は目覚ましではなく弁当を作っていたはずの取り乱した母が私を起こした。いつもには珍しく父も起きていて何だか騒がしい印象であり受話器を片手に慌てふためいていた。2階の寝室から階下へ降りて行きその現場を見た瞬間、夢に囚われていたはずの我が全細胞が一斉に解き放たれ揺られ凍り付いた 大袈裟であろうか?ーいやそんなことは決してない。まさに震撼ー絶句!!身の毛もよだつーとはこういうことだ!みんな分かっていない!身体が宙に放り出され一気に沈んだ。いつもは朝日を取り込み鈴木家に夜明けを知らせるはずの大きな窓がベージュのカーテンに閉ざされ、紅に染まっているではないか!その下で倒れているのは我が姉だ!!幸子ー!姉と分かったのは顔を認識した訳ではない。その場にいる私、母、父

そして明らかに妹とは違う体格、消去法である。それくらいグシャグシャであり余りにも無残な亡骸であった。上半身のパジャマは何処へ行った!裸体ではあるまいか!そして極めつけは腹から出た長いものー腸であろうか?何かしらの内蔵であるに間違いないだろう、そしてその横に「これで殺りました。」と言わんばかりに床にあの柄が木の万能包丁が突き立ててあるではないか!ーああ、われらの愛しき包丁よーいや今となっては憎むべき我が家の包丁である、腹をコイツで切り裂かれたのだろうか!なんて可哀想な姉であろうか!いたわるべきは姉であろうに自分を守ろうとしている自分を恥ずべきだと心底思った。 ああー、、あまりにも絶叫的な体験だ!のちに分かったがあれは紛れもなく姉であり死亡していたー当たり前だ!生きていてほしいなどとは思わなかった。あの状態を見れば儚い希望など潰されてしまうだろう

私のグットモーニングを返せ!我が家のベージュのカーテンを返せよ!かわりにこの家に残された絶望した空気を返してやる!そしてこんな悲惨なことが起こったのだから理由を問う必要があるだろうー誰が殺ったんだ?単純な問いではあるが難しい問いではないだろう。素人なりにこの事件について考えてみるとしよう。まず、間違いなく姉を殺したのは家の中の人間だろう。何故なら母は毎晩、戸締りする習慣があるからだ。外部の人間が夜中に入る隙はなかっただろう。また、事件発生後にも戸締りを調べてあり何処も開いていなかった。母、父、妹、今まで10数年以上一緒に暮らしてきたものの中に殺人者がいるというものはいかがなものであろうか!背後も託してはならないーあの瞬間から心底休む間などなかった。いや待てよ、母が共犯者を夜中に家に招き入れていたかもしれないじゃないか!それはあまり現実的ではないな、第一 母が娘を殺した時のメリットなど存在するのだろうか?いや、、あ、ある のかもしれない。微かではあるが心当たりがある、、


・少し取り乱してしまったな、、続けよう。言っておくが私はすべてにつながる性行為をできなくなってしまった姉を可哀想だとは思う、しかし彼女の死を惜しんではいない、何故なら関係が良好では無かったからだ。だからといって深刻という訳でもなかった、そこらの兄弟もこんなものだろうといった程度だ。並びに妹ともだ。だから今は亡き姉についても酷いことが言える。ただ人間の死体を見たのは初めてである。しかしよりによって最初に見る死体がグロテスクな惨殺死体だなんていかがなものだろうか?つまり死体を見てショックを受け動揺しているだけなのである。なぜ死んだのだ!スーパーマーケットだってこたつだってこれを防ぐために存在していたというのに、、

人間は死んでから有名になったり経歴に触れられたりすることがある。かの有名なアインシュタインやマリリン・モンロー、天才画家ゴッホもそうだ。ということで先程、記した「心当たり」と共に姉について記そうと思う。姉の死の1か月前に姉と母のこんな会話を聞いたことがある。母と姉、共に少しおかしいということを踏まえてから読んで欲しい。母は機嫌が悪くなると呆れるくらいに馬鹿だ。そんな状態の時の母が常に気立っている姉に話しかけるところから始まる。

「幸子!あなたがしっかりしないと毎回、学校、バイト先に謝るのはお母さんなの!テニーズにもカストの店長にも謝ったんだよ!」

「お母さん気付いてないの?お母さんは過保護すぎるんだよ!」

「どういうこと?!幸子の為を思って薬を毎回わけてあげてるの!その他の行動も全部あなたの為。あの薬は飲み過ぎると危ないの!なのにあなたは毎回分からずたくさん飲むから!」

どんな薬だよ、と思った。危ない、、、?姉が生活にだらしないのは知っていた。学校は保健室登校だしバイトもサボる。

「心療内科は遠いのよ!幸子は物事を忘れるし勝手に記憶を作り変えてしまうの!でもね、病気だからといってもさすがにだらしなすぎるよ!あとね、前言っていたお父さんが本屋で幸子を蹴っただとか、、おとうさんはそんなことしない、、」

姉は以前からのヤバいとは思っていたがまさか心療内科に通っているとは!気が付かなかった。症状から言って何かの精神病だろう。ということは例の薬も心を落ち着けたりする何かか!

「だって本当に蹴られたんだもん!」

「だから作り変えられ、、!」

言葉が途中で遮られた

「作り変えられてなんかいない!」

「じゃあ いつよ!」

「子供三人と父で行った時!お母さんはいなかった!」

私もその現場にいた?!幼い頃のことはあんまし覚えていないのでピンとこない、自分の記憶は当てにならないな。

「でもお父さんは蹴ったりなんかしてないって言っているの!」

「自分たちが暴力振るったって認めたくないからといって誤魔化さないでくれる?」

この言葉で会話は終点を迎えた。姉が2階の自室に戻ったのだ。どちらの主張が正しいかは分からないが双方ヤバいことは確かである。何と言ってもその後、母は狂ったように妹と私に愚痴を言ってくるのである。こちらまで気が滅入る。こんな馬鹿な母があまり好きではなかった。その後、父が帰ってきて同じ話を聞かせていたものだから呆れた。

ここからは母と姉の会話の直ぐ後、愚痴ってきたときの私と母の会話である。

「勉ねえ、お母さんも大変なのよ、幸子のことでもいろいろあってね私も薬を飲んでいるの。」

えらい病んだ様子で行ってくるがなんだか演技っぽいので可笑しい。母はおそらく特別メンタルが弱い。よその主婦なら耐えていただろう。こんな会話は「へえ。」で終わらせてやった。しかしこの短い会話の中で母も薬を飲んでいると知った衝撃を少なからず私は受けている。

以上が私の知っている情報であるー少なすぎるな。ちなみに妹はないだろう。あんな事をする勇気は持っていない。父も疑いたくはない。母は好きではないが父は好きだからだ。

  そして最後にここまで読んでくれた人へ  すまないがこの話は事件発生編だけで解決編がない欠陥品である。つまり犯人が未だに分からないのだ。いつかこの呪縛が解けるだろうか?また何か分かり次第ペンを執る。これにて幕を閉じる。


あなたの魂が生き、何百万年も過ごせますように。テーベを愛し、北風に顔を向けて座り、その目で幸せを見つめながらーマース・ベタレッジ (私の好きな言葉を記しておこう なんかかっちょいいだろ?)


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・まず皆様に前置きとして伝えておきたいことは寄稿者がこれまでとは違う、

勉だとかいうあのクソガキではないということだ。あのガキは私が起こした私が犯人である事件を下らない物語にしおった。だが面白そうなので暇つぶしとして解決編を私が書いてやろう。

さて、私は勝手にペンを執っているのだがこれから記すのは解決編などという立派なものよりどちらかと言うとただ単にわたしについてだ。ちなみにあのガキの推理は全くと言って的外れである。この事件は何のトリックもない、ただ私が幸子だとかいうねーちゃんに性欲をぶつけ、殺しただけだ。皆様は私が誰かを知りたいのだろう。だがそれはこの物語にはあまり関係のないことだ。なのであえて記さないー不潔な殺人おじさんの名前を聞いてもうれしくないだろう?

私は夢のある(あの娘には無かった)1人の少女の命を奪ったことに対して罪悪感を感じていないー何より暇だったのだーそう、暇つぶしに過ぎないーあのガキんちょの記していた人間の三大欲である「性欲」を何処にもっていけば良かったのだ?ーあのクソガキ曰く「性欲」が何より大事なのだろ?ーということであの事件は正当な行いのうえに成り立っていたと言える。皆は私を狂信的だとか言うかもしれないーしかし違う狂っているのは表の人間だ!何故だかわかるか?日本では15年前からアメリカでは1930年から女性の家事従事時間が変わっていないだ。著しい科学の発展があったにも関わらずなぜこのようなことになってしまったのか?ーそれはお前らが貪欲だからだーこれができたら次はこれ、と次から次へと出てくる。

きりがないね!だったら太古の昔の人間のほうが幸せだったと思わないかい?狩りをして洗濯さえすれば後は草原で寝る時間である。存在するだけで金のかかる世界なんてうんざりじゃないか?!だから私は社会に背を向け反抗し金のかからない生活を求めた!この事件もその一連の流れの一環であることを承知して頂きたい、、

 変な資料に結び付け自分の行動を正当化していると思うかい?いやそんなことは、いや、、、、全くと言ってその通りだ!もうどうしようもならないんだ裏に行ってはあ!私のようにはなってはいけないと教訓になることを願う。この文章を書くことによりー自分の犯した罪に対する些細な償いをさせてほしい!


                   (鈴木家のとある押し入れからお邪魔する)

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