第4話 おむすび

「おなかすいた」


ぽつんと呟いた。

急激に空腹を感じたのだ。


きゅるるる。


ほら、胃が、活動してる。


私に何が起こったのか、ほんの些細なことなのだ。


心に浮かんだ、大気の流動する様子を。

まるで宇宙から眺めているように。

地球が、ほら、ゆっくりと回転している。

私は、そこを漂っている。


光を放ち、たゆたう風の、懐に抱かれて。


サナギの私は、形を失い、ただ漠然と大気と同化しているのだった。



<続く 「やわらかな闇」へ>

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『さなぎ』 ぽふ、 @a-piece-of-harmony

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