#22 黒髪の女

 ハイドが見ていたものと同じ空の下。とある島で黒髪の女が新聞を眺める。

 一面を飾っているのは《脅威》のうちの一体がカルベン兵士学校の生徒たちの手によって倒されたとの記事。

 そんなものには興味ないと言わんばかりに女は新聞紙を裏返した。

『《黒色の脅威》がフェアリーアイランドを破壊。里にいた妖精族たちの消息は不明。全滅か⁉』という見出し、他にも『《緑色の脅威》の大量発生により島が二つ消滅』『《灰色の脅威》の襲撃により資源の確保が困難』などなど。一体が倒されたその影で南泰もの《脅威》が世界を終わりへと導いていた。

「もし明日、世界が終るなら。今日と言う日は絶望にまみれているだろうよ。ねぇ?先生?」

 女はボソッと呟き新聞をクシャクシャに丸めて捨てた。

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