第163歩: 願いを叶えるもん

 つまんない、つまんないっ。


 裸足で地団駄を踏む。

 ぼぅんおぅん。

 王宮のたんぽぽ屋根が音を立てる。


 なんで願いが叶わないの? かたっぽはうまく行ったのに、もうかたっぽはなんでダメなの?

 わたし、がんばったのよ!


 少女は見上げる。明るく白い満月を。


 なんで、なんで、なんで!?

 もっと大きくて、恐ろしくなきゃだめだったの?

 それとも、たくさんの人に褒められなきゃだめだったの?


 月は黙して、答えてはくれない。


 いいもん、時間はたくさんあるもん。

 ちょっとずつ、ちょっとずつ、いろんな願いを叶えるもん。

 そうすれば、いつかあなたに会えるんですよね?

 女神さま。

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