敵輸送部隊殲滅戦 ~演習と試練~
朝起きて私たちは部隊室に集合した。
「皆集まったね~、じゃあ演習の詳細を話すね」
シャーリさんはそういうと壁に貼られた地図の前に立った
「とりあえず第五七防衛基地を目指すよ、そこで補給してから一応魔力隠蔽して先に進んで一応ゴールはここだ!」
といってシャーリさんは地図上の一点を指した。そこは二ホンの中央の3つの山脈の中央にある盆地だった。
「ナガノ…?」
「そうだよ、チュウブ地方だ。うちの国と帝国に挟まれているからな他に比べてバラックが少ないんだ。それでも二イガタを抜けたりした奴はいるし、バラックが少ない分野生生物は多い。襲い掛かってくるやつらもいるだろうし、バラックと違い魔力隠蔽をしてても匂いで見つけてくるからな。気は抜かないように」
「「「はい」」」
「ここは盆地状になっていて中央に湖があるのよ。その湖からすこし離れた高原湿地で調査して帰るだけで終わり」
「ということだ、じゃあ皆解散して第三発着場で集合」
それから準備を持ち、集合した。
「じゃあ皆、食料、寝具とか詰まってるからこれ持ってね。」
「やっぱり結構重いな~」
「カレンのは特に重くしてあるからな」
「なんでさ!」
「いや~今回は訓練だからカレンは力はあるからあとは体力つけないと」
「ぐぬぬ…」
「じゃあ、みんな荷物は持った?じゃあ上空で陣を組むわよ」
といってサナさんは飛んで行った。私も行こうとした時シャーリさんが近づいてきた
「チーちゃん大丈夫?」
「はい!シャーリさん昨日はありがとうございました」
「いいよいいよ、じゃあいこうか」
とシャーリさんが手を伸ばしてきたので私は手をつかみ返して空に出た
「んじゃ、一応の確認ね。国内での飛行は前方偵察陣形で飛行するから私とチーちゃんが一番前で次にカレンとサナ、最後にユナがついてきてね。もしも敵と接触した場合バックのみパージし戦闘隊形、前衛にサナとカレンが出て私が二人のサポート、チーちゃんは立体索敵しユナは行動予測と通信、それ以外は臨機応変!じゃあいこうか」
そうして私たちの遠征が始まった。
「平和だ平和だ」
「カレン…ここは最終防衛ラインの第一と二の防衛基地よりも内側なのよ。ここに敵がいたらそれこそ問題よ」
「うるさいやい!それぐらい私だってわかってるよ」
「あら、わかってないのかと思っていたわごめんなさいね」
「なんだと!」
「はい、カレンちゃんユナちゃんあまり叫んでいると下に突き落とすわよ」
「ひー!」
「ごめんなさい」
「そうだぞ、二人ともあまり国内だからってのんきにしてないで。外でそんなに騒いでたらすぐに敵に見つかるぞ」
「ははは…」
…こんなおしゃべりをしながら飛行していますが、ちゃんと私とシャーリさんは索敵しています。さすがに街中で魔力波術式発動させるわけにはいけないので視覚拡張術式により魔力観測をしているのです。これにより強い魔力を持っているやつはすぐにみつけられる。しかしこれは負担が大きいため二人で交互に観測しています。
そうして飛んでいると遠くに見慣れた建物が見えてきた。湖を囲うようにある山の一際大きい山の上にそれは建っていた。
「あれってもしかして…」
「ああそうだよあれが第五偵察基地だよ」
「やっぱり施設とかってあまり変わらないんですね」
「地域ごとにあまり差がないようにつくってあるのよ、まあ役割が特殊な基地もあるから完全に全部同じってわけじゃないんだけどね」
「特殊な役割ですか?」
「例えば第九、十偵察基地は防衛基地が海上にあるから他と違って海上防衛のための施設や補給船とかも保有してるんだ」
「へ~うちにも特殊な役割とかってないんですか?」
「あるっちゃあるんだけどね~使わないことにこしたことはないからね。必要になったら教えてあげるよ」
「え~気になる…」
「ほら皆、偵察基地も抜けたんだからこれから敵を発見するかもしれないんだから気を引き締めていくわよ」
「はっ…はい」
「偵察基地を過ぎたらもうすぐで第五七防衛基地だから頑張ってチーちゃん」
出発してから5時間が経過し、太陽が真上にきた頃に私たちは第五七防衛基地にたどり着いた。
「は~…疲れた」
「外で突っ伏してないで食堂で休んだほうがいいよ」
「私は、補給品の受け取りの手続きをしてくるわね、みんなは先に行ってて」
といってサナさんは兵站部へ向かっていった。
「ありがとうサナ、ほらカレン寝てないでいくよ」
「そうよ、カレン早く立って他の基地で体たらくを見せないで!」
「え~ユナだってもう疲れてるんでしょ」
「そんなことないわ、これくらい余裕よ」
「ていっ!」
「きゃっ…」
カレンちゃんがユナちゃんに抱き着くと同時にユナちゃんは膝から崩れ落ちた。
「ちょっと!なにするのよ」
「ほら、ユナも一緒に寝ようよ疲れてるんでしょ~」
「カレン放しなさい!」
ユナちゃんもだいぶ疲れているようでカレンちゃんの拘束から抜け出せないようだ。さらにあまりにも大きな声で騒いでいるため周りの基地内の職員に視線が集まってきつつある。
「あわわ…ユナちゃんも、カレンちゃんもや…やめ」
「はぁ、いいよチーちゃん先に行こう。二人とも満足したら来るんだぞ」
「はーい、シャーリさん」
「ちょ…助けて!放しなさいよ」
私は注目の的となっている二人から逃げるようにシャーリさんと食堂へ向かった。
「防衛基地とか偵察基地って山の上い多いですよね」
私たちが所属する第四偵察基地や途中で見てきた第五基地やこの第五七基地もそうだがほぼ山の上に建っている。
「山の上は防衛しやすいからってのもあるんだけど、偵察基地が山の上にあるのは広範囲探知術式はただでさえ位置のずれが大きいのに他の物体を通すと大きく曲がってしまうからできるだけ高い場所に建てるのが普通なんだ。」
「なるほど…」
確かに、広範囲魔力探知のための施設は基地の中でも高い場所に建っている。私はあれは偉いから上のほうにいるのかと思っていたがちゃんと理由があったとは、反省しなくては…。
「チーちゃん何食べる?ちゃんと食べといたほうがいいよ午後も移動するから」
「どれにしようかな~」
シャーリさんと私が選んでいるうちにユナちゃんとカレンちゃんが追い付いてきた。カレンちゃんがぼこぼこになっているのは幻覚ではないだろう。そして少し経ったところでサナさんも合流して一緒に昼食を食べた。
「二人とも基地内でうわさになってるわよ」
「あれはカレンが!」
「ユナちゃん落ち着いてまた…」
「そうだぞユナ、食堂では静かにs(ゴスッ)うっ…」
ユナちゃんが素早く動き、バタッとカレンちゃんが倒れた。
「…二人ともあまり悪目立ちしないでくれよ~、あとで隊長の私が問題になるだろ」
「シャーリちょっといいか?」
私たちが食後の会話に花を咲かせているときに話しかけられた
「うん、いいよ。みんなちょっと待っててくれる?」
「いいわよ、行ってきて」
「ありがとう」
と言って話しかけてきた黒髪の女の人とどこかへ行った
「誰だろうね、あの人」
「階級バッチでわかるでしょ」
「そんなの見てなかったよ~」
「あの人はこの基地のトップよ」
「え~…そんな偉い人だったんですか!」
「もしかして、私たちのせいで呼び出されたとか…」
「ユナそんなわけ…ないでしょ…」
「多分違うわ最近の様子とかで話があるんでしょ」
「なんだ、よかった~」
そのあと、4人で話していたらすぐにシャーリさんが帰ってきた。
「いや~ごめんごめん、それじゃあ出発しようか」
「よ~し、午後も頑張るぞ!」
「午前中みたいに倒れないでよねカレン」
「二人とも…落ち着いて…」
そして、私とユナちゃんとカレンちゃんが食堂を出た後
「なんの話だった?」
「やっぱり最近の敵の動きがおかしいらしい、一か月前ぐらいからめっきり敵が現れなくなってるらしい」
「敵の指揮官クラスが現れたってこと?」
「多分そうだと思う、しかも北部の攻勢で上位の偵察兵が第五にはほとんどいなくて見つけられてないらしい」
「どうする、今回の演習は中止にする?」
「いや、さっきも言った通りこのまま進めよう。敵を見つけたいってのもあるけど遅かれ早かれ実戦は経験することになるし、ここで経験しとくのもいいでしょ」
「わかったわ、じゃあ実戦装備ね」
「できるだけ逃げるようにはするけどね、それ以外は任せるよ」
全員が集まり出撃準備が整った
「みんな悪い知らせが、ナガノ方面に敵が集まってるかもしれない」
「どのくらいの敵がいるんですか」
「最低でも中隊、大隊規模はいるだろうね。でも心配しないで発見したらすぐに帰るから観測はしないよ」
「まあ、演習が実戦になったけどやることは変わらないわ」
「てことでみんな装備の確認をちゃんとしとくように、あと敵がいるってことで今日から魔力隠蔽飛行ではなく地上を行くから、ちょっと期間が延びるけどがんばってこ~」
そんな明るい声とは裏腹に私達のテンションはどん底のまま初の(実戦)演習は始まったのである。
戦いの開始点 p489 @p4891
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。戦いの開始点の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます