けいすけと青春とエアコン

ゆうた「今夜けいすけが泊まりに来る」


まな「けいちゃん来るんだ!そしたら今日はなんのお土産なのかな楽しみだなぁ」


ゆうた「残念ながらお土産はない」


まな「じゃあなにしに来るんだよ!!」


ゆうた「そんな言い方はないだろ?俺らのたった一人の親友に」


まな「だって来るたびにお土産持ってきてくれるから…」


ゆうた「だが今回はお土産の代わりに鍋の材料を調達してくるそうだ」


まな「なんですと」


ゆうた「聞いて驚け。カニ鍋だ」


まな「なんですとおぉ!!」


ゆうた「今夜は……寝かせないぜ」


まな「カーニ!カーニ!」


ゆうた「きっと彼はついでにお酒もたくさん買ってきてくれることだろう」


まな「さーけ!さーけ!」


けいすけ「…………酒は買ってきてないんだけど」


まな「カニ鍋が来たぞ」


ゆうた「あ、カニ鍋だ」


けいすけ「僕をカニ鍋みたいに言わないでほしい」


ゆうた「酒はあるのかね?」


けいすけ「え、だからないって」


ゆうた「酒がないと」


まな「宴は始まらない」


けいすけ「わかったよ、買ってくるよ」


ゆうた「それでこそ帰国子女だ」


けいすけ「関係ないんだけど……」


まな「私ビール!」


ゆうた「俺チューハイ!」


けいすけ「はい…」








ゆうた「第64回潰れるまで飲みまくり大会を開始します!」


まな「いえーい!!」


けいすけ「64回もしてなくね」


ゆうた「こまけぇこたぁいいんだよ」


まな「ほらほらぁ飲みなってけいちゃん」


けいすけ「まなちん僕が酒弱いこと知ってるよね」


まな「あれ?そうだっけ」


けいすけ「この同じやりとり前も何回も言った気が」


ゆうた「鏡月イッキします!!」


まな「ふぅ〜!!」


けいすけ「おちょこってイッキのうちに入るの」


ゆうた「じゃあ次けいすけね」


けいすけ「えぇ…」


ゆうた「何?飲めないのか貴様」


まな「私ものむ!」


けいすけ「わかったよ、のむよ」


まな「それでこそ男だ!」


ゆうた「うむ」


けいすけ「うげぇ」


ゆうた「おちょこはイッキのうちに入らないのに苦しい顔するなよ」


けいすけ「えぇ……」


まな「よっしゃー!!イッキします!」


ゆうた「イヨー!」


まな「んんっ、ぷはーー!」


ゆうた「見事な飲みっぷりだ」


けいすけ「だからそれおちょこ」











ゆうた「……」


まな「……」


けいすけ「……」


まな「……ふぁ」


けいすけ「おはよう」


まな「けいちゃんおはよう」


けいすけ「一番騒いでたゆうたが一番最初に寝た記憶がある」


まな「そうだっけ」


けいすけ「馬鹿なのか」


まな「馬鹿なんだよ」


ゆうた「わ゛ん゛っ!」


けいすけ「え!?」


ゆうた「……」


けいすけ「何?起きてたの?」


ゆうた「……」


けいすけ「…寝てるの?」


ゆうた「……」


まな「あー、最近よく寝言で吠える」


けいすけ「寝言だったの今の!?」


まな「それでよく私が起きる」


けいすけ「大変だなぁ……」


まな「アラームみたいなものだよ」


けいすけ「迷惑すぎるアラームだなぁ」


まな「けいちゃんはもう帰るの?」


けいすけ「うん、このあと彼女のとこ行こうかなって」


まな「いいねぇ、青春してるねぇ」


けいすけ「まなもでしょ」


まな「私とゆうたは家族みたいなものだからね」


けいすけ「ゆうたはいつもふざけてるから、恋愛とかあんま分からないんじゃないかな」


まな「うーん」


けいすけ「でも、まなとはずっと離れたがらないから、好きって感情はあると思うよ」


まな「無性に恥ずかしい」


けいすけ「高校の時はゆうたそこそこモテてたりしたけど、付き合ったりしたの1人ぐらいしか知らないなぁ」


まな「あ、童貞捨てたとかどうこう言ってた気がする」


けいすけ「そうそう。でも結局その人とも1ヶ月足らずで別れちゃったし、合うのはまなだけなんだろうね」


まな「私もけいちゃんと出会ってから何人か付き合ったりしたけど、長続きしないでフラフラしてたなぁ」


けいすけ「結婚は考えないの?」


まな「私は考えたりするけど、やっぱりそういうのはゆうたから言ってほしいかな」


けいすけ「ふーん。ずっと言ってこなかったらどうするの?」


まな「それでもいいんだ。私は一緒にいられたらそれでいいから」


けいすけ「二人のことなのに、僕がドキドキしてる」


まな「変かなー?」


けいすけ「いや、むしろ何も考えてないゆうたが変だよ。まなはしっかりしてるよほんとに」


まな「良かった。こういうこと言えるのけいすけしかいないから、助かってるよ」


けいすけ「それは良かった」


まな「いつもありがとうね」


けいすけ「どうしたしまして」


まな「ちょっとトイレ行ってくる」


けいすけ「おっけーい」









けいすけ「……」


ゆうた「……」


けいすけ「……」


ゆうた「いや、起きてるんだけど」


けいすけ「え?」

















ゆうた「寒すぎる」


まな「叩いても治らないなぁ」


ゆうた「エアコンは昔のテレビじゃねぇんだよ」


まな「前は叩いたら治ったんだよね」


ゆうた「昔のテレビかもしれん」


まな「大人しく修理屋に電話すべきかな」


ゆうた「夜中の3時に?」


まな「よし、ゆうちゃん屋に電話しよう!」


ゆうた「定休日です」


まな「なんだよ使えないなぁ」


ゆうた「なんで俺が責められるんだ……。俺はとりあえず布団に避難する」


まな「私も〜」


ゆうた「コタツがないのがこの部屋の欠点だな」


まな「お布団あったか〜い」


ゆうた「……おい」


まな「なに?」


ゆうた「なぜ俺の布団に入る」


まな「あったかいからだよ」


ゆうた「隣の布団はどうする。寒そうにしてるぞ」


まな「じゃあ、そっち行く?」


ゆうた「そうするとこっちの布団が可哀想だ」


まな「じゃあこのままでいいよね」


ゆうた「うむ」


まな「寝よっか」


ゆうた「おやすみ」


まな「また明日」

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オタクと彼女とマロさん 李宮さん @2036__

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