暦の襲撃

 三月が終わる。正月の事がハッキリと記憶に残っている一方で、二月、三月と何をしてきたのかすぐに思い出すことが出来ない。外気はじりじりと上がっており、私を一層憂鬱な気分にさせる。焦りと苛立ちから私はカレンダーを破り捨てた。本来めくるだけでいいものにも関わらずだ。すると、それが最後の一枚だったらしく、間の抜けたキャラクターが飾る表紙が現れた。四月から始まるものだったか。また買わねばならない。

 近所の小さな書店に足を運び四月始まりの壁掛けカレンダーを求めたが、この時期に買う人は稀なのか品揃えに乏しく、一月始まりの卓上のそれしか在庫がなかった。まあ、仕方がない。三か月分無駄になるがそれしかないというのだから。それに壁掛けでなく卓上に置くものというのも初めてで少し楽しい。家に帰って早速机に設置しようと開封し、袋から滑らせるように出したところで私の指に痛みが走った。薬指の腹が切れてしまったのだ。幸いというべきか傷は浅く、血も出なかったのだが、親指で押すとぱっくりと割れて見るからに痛々しい。年度の初めからこの調子では先が思いやられる。

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