汚い居酒屋で
あァ、憂鬱だ、憂鬱だねェ。そんな面倒くさそうな顔してないで聞いてくれよ。この世にゃ色んな人が居るだろう。俺みたいに酒を飲むしか能のないやつもいれば、目の玉が飛び出るぐらいの金を一瞬で稼ぐ奴もいるわな。それが脂ぎったオッサンでもなくて若い子だったりするじゃないか。ああいうのは生まれながらに違うんだろうねェ。
そういやこの前公園でさ、俺の目の前子供がこけたんだよ。膝から血ィ流してさ。俺は思わず後退りしちまったんだけど、後ろから来た若い兄ちゃんがタオルかなんかで血を拭ってやっててさ。居るんだねェ。気障なことしてても絵になる奴ってのがねェ。俺がおんなじことしてみろ。お巡り呼ばれちまうよ。
俺なんか図体ばっかしでかいだけで、体力なんかねェし、学なんてもっとだ。結婚どころか友達だっていやしねェ。夜になると寂しくなるから、こうやって人が多いところで酒を飲んでんだ……。
ちょっと、ちょっと。どこ行くんだ。話は終わってねェんだ。飲み直すってかい? だったら俺も連れてってくれよ。ちェッ、冷たい奴だな。おい、そこの。そうだ、あんたでいい。あんただよあんた。聞こえてるだろう。ケッ、無視ってわけかい。畜生。なぁ、誰でもいいんだ俺と話をしてくれよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます