人ぎらい

 精神科に足を運べば正式に病名が貰えるのだと思う。それぐらい人が苦手である。誤解の無いように書いておくが、人が苦手、人ぎらいだと言うのはあくまで結果である。症状としては円滑に会話ができないと言うのが先だ。初対面の人や目上の人と喋っていると緊張して上手いこと口が回らないということは、ままあることだろうが、私の場合は緊張していなくても、気心の知れた友人であったとしても会話に窮することがある。症状が夥しい時など、自分が喋っている途中に急に言葉が出てこなくなったこともある。 例えるなら多大な負荷がかかってブレーカーが落ち、部屋が真っ暗になってしまうようなものである。珍しくベラベラと喋っていたと思ったら突如黙り込むのでさぞ気持ち悪いことだろう。自分ですらそう思うのだから。

 そういうことが人と会う度に続き、私は段々と人を避けるようになる。会話を、理解を、放棄するようになる。そうしてさらに人としての能力を失って行く。人が苦手になっている。

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