私の欠点

 他人への関心がどうにも持てぬ。全てはそこに収束するのだろうが、第一に人の名前が覚えられない。歴史の偉人だとか、小説や映画の人名ならそうでもないのだが、実際に会った友人の友人だとか言うのは覚えるのに苦心する。そのために、その人の情報も中々覚えられずにいる。何処の学校を出て、何処に住み、何処で働いている……。こういうことを何回も聞いている筈だが咄嗟には出てこないのだ。

 これは良いことかも分からないが、人に対しての感情も継続しない。私はこれまでの短い人生について、此奴だけは許しておけぬ、というのが三人居る。いや、正確には居たというべきか。その人たちに対して今は何の感情もない。まあ、幸せにやってくれと返すことさえ出来る。

 ニヒリズムとかそういった類のものではない。ただの欠陥である。このために今までどれほどしなくてもいい苦労をしてきたか分からない。また自分に治す気も起らないので、多分この性格とは死ぬまでの付き合いになる。そしてその付き合いを辞める、つまり死ぬ瞬間。私は一人なのだろうと思う。

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