確からしいこと

 学問ではなんの成果も挙げられない私ではあるが、それでも生きていれば何か確からしいことを人の世に見出したりもする。若しくは見出した気になったりもする。

 それは『不幸は連続する』ということである。

 まあまあ使い古された言い回しであり、飽き飽きするかもしれないがどうか最後まで聞いてほしい。馬鹿がそれなりに頭を捻って出した結論である。

 この場合の不幸とは予測できず、且つ些細なことである。例を挙げるならば、道端で犬の糞を踏んだ、或いは洗濯をして出たが帰りは土砂降りであった、というところである。試験を落としそうだ、生活費が足りないだとかは当て嵌まらない。ある程度予想がきくからである。


 そうして、そういう不幸は何の教訓も得られないのだ。試験を落としたなら次はもっと勉学に励むだろう。生活費が足りないなら節約をしようと工夫するに違いないが、犬の糞を踏んだところで何に気を付けたら良いと言うのだろうか。まさか、常に下を向いて歩くわけにもいかない。教訓が得られずただ苛々するのだから、物事は上手くいかない。また新たな不幸を呼ぶのである。

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