届かない声
御茶ノ水駅の辺りを所在無く彷徨っていたのだが、何か荘厳な曲が流れて来て、ア、こりゃいけないと思い振り返ると右翼の街宣車である。耳を劈くほどの大音量が私に覆い被さるが、注意して聞いてみても抑揚が無く、どこが切れ間か判別がつかぬ。大型の獣がオウオウと断末魔の叫びを上げているといえば分かるだろうか。隣に並んでから、私を追い越して何処かへ行ってしまうまで、単語の一つも聞き取ることが出来なかった。
擦れ違った予備校生風の二人組が言った。
「あれじゃ、主義も主張も分かったものではない」
全くその通りだと思った。
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