人を殺すもの

 何をしてもつまらない、若しくは何もする気が起こらないということがある。懐にそれなりに金はある。体も特に悪い所は無い。差し迫った用事もないのだが、金縛りに遭ったかの様に体が動かなくなるのだ。酷い時は布団から出ることもままならない。そういう日は読書をしてもまるで頭に入らず、何を食っても旨くない。死んだような一日を過ごすことになる。


 この病に前兆は無いようだ。昨日、面白おかしい一日を過ごしたが、今日は退屈で堪らないということは往々にしてある。また、今日が退屈であるからといって、明日もそうであるとは限らない。まるで気まぐれなので、無力な個人にどうこう出来るものではないのだ。或る日、急に発症して大抵次の日には治っている。


 しかし、前兆は無くとも、傾向の様なものはある。

 平日よりは、休日が危ないようだ。時間が余るからであろう。

 冬よりは夏が危ないようだ。医学的なことは分からないが、普通は秋から冬が危ないようである。私の場合、単に暑い方が苦手だからだろう。

 一番は年齢が関係しているのかもしれない。中学生の頃は症状が夥しく、ただ消耗し続ける日々を送っていた。

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