二章 1月編 2
雪の結晶がひらひら舞っている。ちょうどあの日みたいに舞っている。そしてあの空は、吸い込まれそうなほど真っ暗なあの空の向こうには、親友の最中が私を待っている...。
「釜鍋?そこで何してるんだ。部活はもう終わったんだから早く帰らないと親御さんが心配するぞ。」
「あ...いえ。いや...はい。す、すぐに帰ります。」
部活終わりの夜7時、職員室前にある職員玄関で一人ぽつんと立ち尽くす。他の子はもうとっくに帰っただろう。いつも遅い卓球部の声だってしない。
「どうしたんだ?桐谷に会いたいのはよく分かるが、そんなに夜の空見続けて至って帰っては来ないぞ。」
「...笹軒先生。」
私に話しかけていた笹軒先生は職員室に戻ろうと後ろ向いたときに美波に話しかけられたものだから、少々めんどくさがって前を向いた。
「なんだ?」
「...最中と、何かあったんですか?」
「は?」
「だから...最中と、何があったんですか?」
「ちょっと待て釜鍋、それ...」
「どこで、ですか?最中と笹軒先生の関係、周りから見ててもギクシャクしているように見えましたよ。もっとも、陸上部じゃないとお目にかかれなかった光景ですけど。」
「これ、ほかに誰か...」
「知ってる人はいません。」
最後の言葉は嘘だが、それより前は事実をかっこよくいっただけだ。
「先生...何があったんですか?それとも、最中に何かしたんですか!」
「え、べ、別に何があったも何も、特別仲が良くなかったからなんとも言えん。」
「先生...今に見ててくださいよ。証拠、持ってきますから。」
「なんだって?」
「警察にでもなんでも突き出せる証拠ですよ!証拠!!」
刑事ドラマの、見すぎだ。
高校生、体一つで今を生きる。 雨飴 夜星 @night_star
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