第11話 弁護士さんの言うことにゃ
四回目はなんと二ヶ月後になってしまった。
どんだけ調停やら裁判やら予定があるの!?
いろんな意味で愕然とする。
調停の流れって本当にこんなものなのか?
他所様は知らないが私たちの場合、決定的にもめる内容がない、まさかのそれが「問題」だった。
問題がない、そこが遅々としと進まない要因だ。
真っ先にもめるのは子どもの親権だろうか?
それはまったくもって話が出ていない。私が放棄したら拾う、その程度なので親権など最初から旦那は放棄している。私はといえば当然、息子の親権がなくては生きていけない。この場で暴れ倒すわ。
そうなると、次に生じる「子どもと会う頻度」については自動的に「旦那は子どもが望まない限り一切会わない」となるので、ここは早々に決定。(ちなみに、子どもは両親に会う権利があるので、会いたいと望めば会わなくてはならない規則はある。それを守るかどうかまでは法律はないが、親が持つ最低限の責任だ)
よく聞く慰謝料。
これは無理。取れない。テレビドラマの嘘つき。
――弁護士さんと相談したのかって?
しました。
知人が弁護士さんと知り合いで私の事情を話すと、なんとその場で電話をかけてくれた。
知人は弁護士さんに手早く説明をすると、私に代わった。
「あのねぇ。そんな人聞いたことないよ? 浮気じゃないんでしょ? 前の奥さんと子どもを捨てた後すぐ再婚してまた捨てて、しかもその理由がただの口喧嘩。加えて義理の両親が住所変更して旦那さんを匿ってるって? 暗黒物件でしょ」(前の奥さんと離婚した一年後に私と出会って、その後再婚している。誤解のないよう……)
後に何度も言われるが、「なんで結婚したの?」
弁護士さんは唸りながら「悪縁過ぎる」とつぶやいた。
「相手が責任を責任と認識してないってことでしょ。法律であれなんであれ、正しいの基準はご両親の言葉一つ。そのご両親が、さっさと嫁を捨てて離婚しろって、そういう事なんでしょう?」
要約するとそういう事で、弁護士さんはため息交じりにつぶやいた。
「慰謝料は取れないよ。そういう人に持ちかけても絶対頷かないから。一番いいのは、何も取らずにただ離婚する、本当はそれがいいんだよ。今後金の問題が出た時、またやり取りしたくないでしょう?」
つまり、慰謝料と養育費は取るとしがらみができて何かしら問題があった時に困るよ、という事らしい。
そして、慰謝料は相手が浮気などで観念しない限り取れないのだと言う。
何かあったらまた連絡してね、と弁護士さんは最後に「早く離婚できるといいね」とエールらしきものを送った。
「この弁護士さん、市内で一番キャリアがあるから雇うなら絶対にこの人。弁護士は格上格下があるから上の人を雇わないと。どんな正論も下っ端は負けるの」
知人はそんな恐ろしい豆知識を置いて去った。
確かに、終わらせるならそれが一番だろう。どんなに悔しかろうが、それしかない……なーんて、私は折れない!
せめて養育費は出させる!
私はとにかく書いた。
自分がどうなりたいか、明確なビジョンを持って、法律や規則に従った「こちらの要望」を書き連ねることにした。
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