彼女の本当の気持ちは?

彼女の言葉と同時に私は光を見た。

美しく伸びた猫のような爪に乱反射した光を。


「え....」


突き出された爪は私をかすめて空をきる。


「君を止めるためにはこうするしかないの...」


彼女は目を逸らしたまま言った。

まるで自分に言い聞かせるように。


「お願いだから....ここにいて?」


二撃目。

暗く曇った空の下、震える腕に力を込め、彼女は爪を振るう。

またもや私をかすめる。

でも何故だろう。

彼女は闘いを望んでない。

.....そんな気がする。


「お願い....お願いなの......私と一緒にいて?」


「あなたのお願いがそれなら、私のお願いも聞いてください!外へ...出してください!!」


私は必死で自分の思いを伝える。

帰るため、そして生きるために。


「だめだよ....君が外に出れば死んじゃうって言ったよね?私は君が死んじゃうのは許せない。だから私がここで君を守るの。」


力強い言葉。

しかし声には震えが混じり、目には涙が溜まっている。


「私は死にません。なぜなら、まだやるべき事があるから。」


「え?」


「それをやるためには、絶対に死ねません!!」


「......じゃあやるべき事って何?」


当然咄嗟に出た出鱈目だ。

しかし、突然思いついたそれが、私にはやるべき事、やらなくてはいけないことに思えた。

それは.....


「ここから出て、帰れる手段が見つかったら、ここに帰って来ることです!!」


「!?」


溜まっていた涙がとめどなく溢れる。

身体を屈め、泣きじゃくる彼女。

彼女の手はもう止まっていた。


─────────────────


彼女は泣き腫らした目をこちらに向ける。


「ごめんね?ホントは君が大丈夫だって分かってたのにさ....信じてあげられなかった.....」


「君を守るなんて言って、ホントは傷つけていたなんて、バカみたいだよね.....」


「本当に.....ごめんね....?」


彼女はまた泣いてしまう。


「いえ、サーバルさんは悪くないですよ。誰も悪くないです。ですから、謝らなくてもいいんですよ?」


「うん....うん....ごめんねー....?」


「だから....まぁいいです。泣きたいだけ泣いて、スッキリしてください!」


「うん、ありがと....」


見事に泣き腫らした目に見送られて、私はサーバルさんの元を出発した。

しかし、この先のことは何も分からない。

サーバルさん曰く、沢山の動物のフレンズが私を待ってるらしいので、気をつけよう。

この時、私は事態の深刻さを甘く見ていた。



のことさえも、忘れていた。

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