Friends-ルート
サーバルキャット
「....うーん?」
気がつくと、私は海辺ではなく、フカフカなベッドの上で寝ていた。
ベッドと言っても、草が集められて、寝やすい様に作られた所なのだが。
「あ!起きた?」
急に話しかけられ、驚いた。
どうやらここの人達は気配を消すのが得意らしい。
「あっちで寝てたのをこっちに運んできたんだ!ねぇ君、なんであんなとこで寝てたの?とゆうか君は誰?」
「あぅ...えっと...」
いきなりの質問責めにたじろぐ
「あ!いきなりこんなに訊かれても困っちゃうよね!ごめんね?」
「いえ、全然!」
案外まともな人のようだ。
改めて彼女をみると、人のように見えるが、大きな耳に、フサフサな尻尾が付いている。
「あの、すいません、貴方は人ですよね?」
「え?わたしは人じゃないよ?」
「あっそっか、自己紹介がまだだったね!わたしはサーバルキャットのサーバルだよ!よろしくね!」
「あっ、えっと、私は....多分人です。名前も覚えてないです。」
「あはは!かばんちゃんと一緒だね!」
「....え?かばんちゃんって誰ですか?」
「かばんちゃんはね〜、帽子って言うのを被ってて、おっきなかばんを背負ったヒトの女の子だよ!」
その言葉を聞き、不意にあの子を思い出した。
海辺で会い、私を襲ったあの子を。
「その、かばんちゃんという子はどういう子だったんですか?」
「えー?どーゆー子かって?うーん...礼儀正しくて、頭のいい子だよ!」
あの子とは似ても似つかない。
勘違いのようだ。
「でもなんであんな危ないとこで寝てたのー?」
「危ない所...ですか?」
「そうそう!あそこはねー、海からフレンズを攫う怪物が現れるんだって!気をつけなきゃいけないよー?」
「ふれんず?」
「そう、フレンズってゆーのは、動物があそこから出てくるサンドスターに当たって人と同じみたいになったやつ....だったっけ?」
彼女は霧がかった山を指して言った。
本当に人では無かったことに驚きを隠せない。
「あの、私、前いた島に戻りたいんですけど....」
「え?何言ってるのー?君はこれから私とここで暮らすんだよ?」
....なんだろう。
この違和感.....
ハッキリしないモヤモヤは。
何故か恐怖を覚える...
「なんでこんなこと言うか分かる?」
私は静かに首を振る。
「私は心配なんだよ....」
「君が殺されてしまうのが怖い」
「な、何言って....」
驚きのあまり声が漏れる。
「君はただの人間でしょ?そんな人がここから出たって殺される。他の子は皆人を憎んでるから.....」
「なんで....」
「なんでかなんて関係ない。私は君が心配。だからここから出さない。それだけ。君を守る為だってわかってよ」
そんなこと言ったって信じられない。
ただ私と一緒にいたいだけじゃないのかと思う。
「それでも君が出たいって言うなら、私は私の全力をもって邪魔をする。」
「.......」
「お願いだから、私の言うことを聞いてよ。」
「ごめん...やっぱ信じられないです...
ここから出たいです...!」
「そっか....そうだよね.....それが普通だよね.....じゃあ仕方ないね.....」
彼女は静かに目を伏せ、言った....
「ごめんね...」
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