ニンゲン
ここはどこ?
私はだれ?
今までの記憶がない。
「あの、こんな所でどうしたんですか?」
ふと振り向くと、そこには2つの羽根の付いた帽子を被って、リュックサックを背負った女の子がこちらを見つめていた。
話し方から見て、とても礼儀正しい人なのだろう。
彼女は様子を伺っている。
「えと、わたし、今目覚めたばかりで、それ以前の記憶がないんです。」
「そうですか、見たところ私と同じニンゲンの様ですが...」
そう言うと彼女は考えるように黙り込んでしまった。
「えっと、あの、『ニンゲンの様』ってどういう意味ですか?」
全く今の状況を理解できない為、少しでも分かろうと疑問をぶつけてみた。
「そのまんまの意味ですよ?貴方はボクと似ていたから。それに、ここは今までボクしかニンゲンがいなかったから。」
何となくは分かった気がする。
断片的に記憶が甦ってきた。
確か、目を覚ます直前は、海に来ていて...
「そうだ。貴方はここの事についてなにも知らないですよね。折角ですから、ボクが説明しますね。聞いててください。」
「お願いします。」
──では、まずここの説明から。ここはジャパリパークと言ってですね、けもの達が暮らしている元超巨大総合動物園です。今じゃ廃れてしまって、人もいませんが、けもの達は元気に仲良く暮らしてます。ただ、けもの達はニンゲンを憎んでます。何故かというとですね、昔、けもの達とニンゲンは共存していたんです。でも、その共存は、ニンゲンにだけ都合良い内容でした。例えば、動物園であるジャパリパークから外へは出てはいけない、だとか、人に危害を加えてはいけない、というもの。それに憤慨したけもの達は、ニンゲン相手に戦争をけしかけます。でも、ニンゲンの進んだ技術には、勝てませんでした。要するに、けもの達はニンゲンに負け、このジャパリパークに閉じ込められたんです。だからそこから、いえ、もっと前からニンゲンを憎んでいるんです。──
彼女は、自分のことは一切語らず、このジャパリパークの歴史について語った。
「でも安心してください。心配させませんから。」
そう言うと彼女は不意に私を殴った。
私は気絶。
気を失う瞬間、声が聞こえた。
「必ず××からね。××××ちゃん。」
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